※※第158話:Make Love(&Make Love!).8












 …――――歪んでゆく、理性、

 指先まで潜む狂った愛、

 優しく包むように、
 激しく壊すように、

 離さないと、
 離れられないと、

 流れる血潮にまで刻み込んで。












 「あ、奇遇だね、薔ちゃんとこも今帰り?」
 部屋に入る手前、屡薇はあっけらかんと笑ってみせた。

 どうやら偶然、お隣夫婦(ではまだないけど)と鉢合わせた模様で、

 「あのさ、薔ちゃん、俺たち何か薔薇ってるって噂が」

 バタン――――…

 ドアは、閉められちゃいました。




 「うわぁ、これきっと妥当な対応だよね?」
 すんなり納得した屡薇も、いったんお部屋へ入ろうとした。

 すると、

 ガチャ――――…

 再び隣のドアは、開きまして。


 尻尾をぴこぴこ振る豆を抱っこしてきた薔は、

 「いい子にしてたみてぇだぞ?」

 目で追っていた屡薇に抱っこさせてから、部屋へと戻っていったのです。







 見送っていた屡薇は、感激しながらぽつりと呟いた。

 「わお、まさかの神対応…」
 「ワン(※ごしゅじんさま、おなかすいた)♪」








 …――――――神対応かな!?















 ――――――――…

 「何か飲むかい?」
 ホテルのスイートなお部屋にて、微笑んだ醐留権は彼女へ問いかけた。


 「えっとぉぉ…、」
 ソファに座って頬を赤らめるこけしちゃんは、

 「要ぇぇ…」

 聞き返したんです。

 「今日はぁ、薔くぅんと羚亜くぅんとぉぉ、デートだったのぉぉ?」







 「や、やはりその質問は、くるんだね?」
 「うんぅぅ…」
 予想通りと言うべきか、調査とも呼べない調査をしていたゾーラ先生は彼女にドリンクを手渡すと、隣に座ってしばし思案。

 こけしちゃんは返しに期待しながら、彼と共にひとまずドリンク補給。


 そんでもって、

 「まぁ、デートということに、しておこうか、」

 という結論に、醐留権は辿り着いた。
 羚亜のアドバイスの賜物か?



 「ほんとぉぉにぃ?」
 キラキラァァと瞳を輝かせたこけしちゃんの脳内では、腐的な妄想が今にもおっ始まりそうだったのだけど、

 ちゅ…

 そっと、キスをされちゃいました。




 よって、腐的な妄想はおっ始まることもなく、

 「それより…触れてもいいかい?」

 コトンッ…

 彼女のドリンクもテーブルへと置き、囁いた醐留権はゆっくりと手を伸ばした。

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