※※第128話:Make Love(&Insane love).68








 …――――Red awakening.

 『暴れ出すneuron』



 恐がらずにただその手をさしのべて。

















 研究室と呼ぶには、あまりにも殺風景な部屋にて。

 ルイは連れ去ってきた薔の躰を、静かにベッドへと横たえた。




 「全てはうまくいった。」
 笑うルイは傍らの小さな実験台から、置かれていた注射器を手に取ると、

 「それにしても、肌までじつに美しい…」

 薔の服の袖を、たくし上げてゆく。



 そして、

 「あの麻酔はF・B・Dにしか効き目はないが、効果は絶大だ、特に痛みも感じないだろう。」
 銀の針は、なめらかな肌を突き刺そうとしたのだけど、


 「あぁ、どうりで全然効かねーわけだ。」

 ぐいっ

 それははっきりとした声が響いて、ルイは注射器を手にしていたほうの手首を強く掴まれたのだ。




 唖然とするルイを、不敵な笑みで見上げ、

 「研究と豪語したわりには、随分とみすぼらしい部屋じゃねーか、」

 薔は言いました。


 「まるで、アンタの自我そのものみてぇだな。」


















 ――――――――…

 「何であんたら、契っとかなかったんだよ!?」

 夜道を、とある“みっつ”のシルエットが猛スピードで駆け抜けてゆく。


 「それをしようとしてたら、ヘンなのが来たの!」
 「いやそれ、俺の親父だけどさ…」
 「ワンッ(※ナナちゃん、見事な演技)!」

 男の案内で、ナナと花子は研究室とやらに向かっており、

 「親父、若かったろ?あんたと同じヴァンパイアだから、」
 「あれお父さんなの!?」

 ふと、屡薇は衝撃の事実を口にしたのだ。

 「で、俺の母親は人間だったけど、親父が殺したんだ。俺がまだちっせえ時に。」









 「え――――――…?」

 ナナはまず、耳を疑い、

 「だから急がねぇと、親父っていつでも好き勝手やっちまうんだよ。」

 冷や汗なのか、汗ばむ屡薇は速度を速めた。




 ナナは走りながら、慌てて指輪を外してしまうと、

 「ちょ、ちょっと!研究室って、場所はどこ!?」
 「は?」

 必死になって、声を張り上げたのでした。

 「わたし、花子ちゃんとアンタ抱えてくから!こればっかはあのひとのためだから、許してくださると思う!」









 「ワンッ(そんなナナちゃんは、ご主人さまのお仕置きが大好きなのでございます)!」

 ……花子よ、わざわざ補足をありがとう!

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