※※第156話:Make Love(&Whisper).87











 無邪気な魔性か
  確かな眩暈か
    愛は狂気?


   …――嗚呼、どうすれば。











 「ん……」
 ナナはおもむろに、目を覚ました。
 (おおおおおっ…!?)
 そして寝惚ける間もなく、朝からときめいちゃったようだ。




 はい、目の前で静かに眠っている薔は、彼女に腕枕をしておりました。





 (おおおおおわぁあ!きれいすぎるよ―――――――――っ!)
 と、真っ赤になって朝一の雄叫びをこころにて上げたナナさんであるが、

 (はっ!このひと腕痛くないのかな!?)

 ガバッ!

 慌てて起き上がった。


 ところがすぐに、

 グイッ――――…!

 強引に引き戻されました。






 腕枕再びとなりドキドキ唖然とするナナの頬を、ゆびの背で撫でながら、

 「おはよ…」

 薔は微笑む。


 「お、おはよう…ござぃ、ます…」
 ナナは小さく返し、頬から下へと手を滑らせていった彼は、

 「よかった、痕はついてねぇな…」

 やさしく取った彼女の手を見ながら言いました。




 ……かぁぁぁああっ

 ナナはさらに赤くなる。
 酔ってはいたけれど、昨夜の行為について思い出せたようだ。


 クスッと笑った薔は、その手にそっとキスをすると、

 「まぁ、」

 自分の肩に置かせてから、トップスの襟を人差し指でくいっと引っ張った。

 「こっちにはいっぱいつけちまったけどな?」








 「あのっ…、おっ、おっぱい…見えちゃいます…けどっ…」
 「大丈夫だ、見えそうで見えねぇとこがまたエロくていいぞ?」
 「んええ…っ?」
 ふたりしてベッドの中で、少しずつもぞもぞしております。

 そうこうしているうちに、引っ張られるナナはだんだんと彼のほうへと寄っていたようで、

 ぎゅっ…

 抱きしめられていた。




 ドキドキ…

 隠しようがない、きっと伝わっている胸は高鳴る一方で。

 そして気づいてみると、いつの間にか置かれていた手は彼のシャツをきゅっと掴んでいて、

 「ナナ、」

 腕枕していた手で髪を撫で、薔は彼女のくちびるへとくちびるを寄せた。

 「おはようのキス…しよっか、」






 「は、…はい……」
 ナナは上目遣いに、もじもじと応える。

 しばし、甘く視線を絡めたふたりは、笑いあってから、

 ちゅ…

 やわらかくくちびるを重ねたのだった。



 ちゅっ……ちゅっ…

 「ん……」

 リップ音を立てて、触れあわせるくちびる。

 つまさきが少しずつ、シーツを波打たせてゆきます。

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