※※第150話:Make Love(&Invitation).84







 ゼェゼェ…

 ハリーVS葛篭ズマザーの白熱した闘いは、未だ決着がつかずにいた。

 (この男ほんとうに、イタリア人なの…!?)





 肝心の葛篭先生は、終始ポカーン。






 「では、私が最も聞きたかった質問にいくわ。」
 そして汗ばむ母上は、こう投げ掛けてきたのだ。

 「あなたの恋愛観は?どうやって実穂子を幸せにする気?」

 と。




 「それはもちローン、」
 ハリーは胸を張って、即答しようとしたのだけど、

 「だいたい、霊媒師なんかをやっているという胡散臭い男が、きちんと実穂子を養っていけるの?まさか実穂子の給料で生計を立てる気じゃないでしょうね?」

 母は話を遮り(←それについては特許が…)、やっぱり質問攻め。


 そんでもって、

 「それはだから、お母さ」
 「実穂子は黙ってなさい!」
 娘の話まで、遮ると、

 「この子はね、ここまで人知れず努力も苦労もしてきたの、私はこの子に、どうしても幸せになってほしいのよ。果たしてあなたに、それができるの?」

 母はハリーの目を真っ直ぐに見つめ、確かめてきたのだ。




 ちょっと頭にきていた葛篭だったが、この言葉には胸を打たれた。





 そしてハリーは、その目をつよく見つめ返すと、

 「はい。」

 はっきりと、答えました。

 「必ず幸せにしてみせます。私は実穂子さんを、心から愛しておりますので。」







 葛篭はじーんとした。
 むしろ、ときめいちゃった。


 グッ…

 母は拳を固めた。

 にしてもハリーさんの愛の告白、明らかにいろいろと正しいけれどおかしいよね?



 と、思った瞬間、

 「いや〜、母さんさぁ、」

 ひょこっ

 父が、帰ってきたのだ。

 「いちおう畑に行ってみたけど、うち今何の作物も育ててないよなぁ?」







 妻は夫のタイミングを呪い、娘はだいぶ腰が曲がった父にホロリを覚えるなか、

 「悪霊っ、たいさ――――――――――ん!!」

 いきなりハリーはポケットから、ロザリオを取り出し叫んだのです。

 「あなたの肩にはよからぬ者が憑いておりますよ!ほらほらさっさと退散しろ!うしろの正面だ〜れだ!?」








 …――――だからいつもと違う胡散臭さだったのか(それにしても、かごめかごめ?)!

[ 346/540 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る