※※第150話:Make Love(&Invitation).84
…――――――触れたのは、指先で、
熱くなるのは全身。
奪われてゆくことは誰にも止められない。
「おわわわわわぁあ…!」
瞳を輝かすナナは、ぐるりと回って見渡そうとしてみた。
「すごいですねぇ…!」
「ととっ、」
途中、バランスを崩したのだけど、
ぎゅっ…
「転ぶなよ?」
ちゃんと薔が支えてくれました。
「あ、ありがとうございます…」
ほっぺを赤くしたナナは、ドキドキのあまりちょっと大人しくなりまして、
(薔がいらっしゃるので、何があっても転ばないと思いますけど…)
とか、思ってみたりした。
(いいなぁあ、あそこのカップル…、ものっすごいイケメンだぁ…)
イチャイチャはさりげなく目立っております。
「そ、それにしても、すごいですね!水槽のなかにいるのに息ができてると言いますか、とにかくすごいですよ!」
「そうだな、そうやってはしゃいでるおまえはすげえ可愛いな、」
「ぎゃほう!」
キラキラと、幻想的な青みがかった世界のなかをふたりっきりの世界で、ふたりは手を繋いで歩いております。
…………はい!
本日は、いつぞやは本格的にできなかったラブラブ水族館デートの模様なんです!
「ひぇぇぇえ…!サメがいました、すごいっ…!」
彼女のこのはしゃぎように、薔は笑いを堪えている様子だ。
ちなみに、本日この水族館に来たのにはちょっとした目的があったのですが、それはひとまず置いときまして。
「このなかに、食べられるお魚さんはいるんですかね?」
ふと、興味津々で眺めながらナナは尋ねてみた。
「いたらどうすんだ?」
薔が笑って聞き返すと、
「えっと…、いつも美味しくいただいてますので、お礼をと思いまして、」
彼女は笑顔で答えたのだ。
「あっ!でも、美味しく作ってくださるのは薔ですので、薔にもお礼を言わないといけませんよね!」
ということに、気づいたナナは、
ふわっ…
やさしくあたまを撫でられた。
ドキッ!として、たいそう甘いムードのなかで、
「なぁ、」
さぞかし甘い言葉、かと思いきや。
「おまえ、ほんとは俺と年変わんねぇだろ?」
薔はさらりと言いました。
「なぜにそうなっちゃったんですかーっ!?」
「あまりにも純粋すぎて喰っちまいたくなった。」
「どへえ!?」
水槽のトンネルのなかでも、ほっぺは、赤いでございます!
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