※※第127話:Make Love(&Pruriency).67






 「え――――――――…?」

 心臓に何か、えもいわれぬ痛みが走ったナナは、

 ぎゅっ…

 思わず、彼の服を掴んでいた。

 「そっ、そんな…」







 グイッ――――…!

 すぐにその躰を、熱く抱き寄せた薔は、

 「大丈夫だ、ナナ、」

 耳もとで、やさしく言い聞かせた。

 「俺の血はすべて、おまえのためにしか流れてねぇから。」








 「それで、いいんですか…?」
 力強い胸へとうずまるようにして、微かにふるえる声でナナは確かめる。
 「そうじゃなきゃ駄目だろ?」
 はっきりと返した薔は、くちづけるみたいに彼女の髪をそっと撫でたのでした。

















 ――――――――…

 きちんと寝ました。
 次の日だよ!


 (おぉおわぁぁあ――――――――――っ!?)

 あーっ、ぁーっ…(※エコー)


 朝っぱらからこころで大絶叫したナナさんは、抱きついて眠っている薔を必死になって揺さぶった。

 「薔っ!起きてください!」
 「ん――――――…」


 …ぎゃあ!かわいい!

 けど遅刻しちゃうよ!



 そうなんです、イチャイチャの甲斐あってか、ちょっと寝坊をしちゃったようで、

 「おおお起きてくださいませ!」
 たいそうな幸福感と闘いながらも、ナナは懸命に彼を揺さぶっております。


 そのうちに、

 「ん…………」

 薔が、目を覚ました。




 「おおおはようございます!」
 急いでいるなかにも、真っ赤のナナはきちんと朝のご挨拶。

 「おはよ、」
 薔も微笑み返したため、

 きゅうん…っ

 一瞬、早くも夢の国へいざなわれたナナでしたが、

 …て、遅刻しちゃ―――――――――う!

 何とかベッド上の世界へと戻り、大声を張り上げましたとさ。

 「早くしませんと、遅刻しちゃいますーっ!」








 「いっそこのまま、セックスしちまうか?」
 「どへぇえ!?」

 …遅刻しそうなんだってば!










 セックスに及ぶことなく、きちんと起きて学校には行ったんです。
 朝食もね、パンとかをちゃんと食べたりしてね。
















 ――――――…


 差し込む朝日が眩しくて、屡薇はおもむろに目を覚ました。


 「………………、」
 ぼーっとしたまま、天井を見上げる。


 むくりと起き上がる瞬間、乱れた髪をかき上げた屡薇は、

 「やっぱ、抜かれたか…」

 すっぽりと抜けたその記憶に気づき、ぽつりと呟いた。



 しかし彼は意外にも、余裕の表情で、

 「俺もさ、成長はすんだよ、親父…」

 壁に立て掛けてあったギターを見つめ、楽しげに笑ったのだった。

 「あのやり方ならとっくに、歌詞に認めてあんだぁ…」

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