※※第142話:Make Love(&Melliferous).78











 「はぁぁいぃ、ナナちゃぁん、これねぇぇ?」

 金曜日の朝、こけしちゃんはニコニコと新しいノートを親友へ差し出した。

 「これならぁ、薔くぅん公認ぜぇったいにいけるからぁぁ。」






 「うはぁ!」
 テンション急上昇のナナは、若干鼻息すら荒くしてそのノートを受け取りました。

 「こけしちゃんはすごいねーっ!」






 そんでもって、

 「でねぇ、ナナちゃぁん、」
 「なななにかな!?こけしちゃん!」
 さっそく大興奮して1ページ目を開いちゃっているナナへと、にっこにこのこけしちゃんはこんなことを言ってきたのです。

 「くれぐれもぉ、今日ぅ、見せてねぇぇ?」

 と。




 「もしや、今日じゃなきゃダメなのかな!?」
 「うんぅ、ナナちゃぁんのためにもぉ、ふたりの明るい未来のためにもぉ、今日見せてほしいのぉぉ。」
 「わかったよーっ!」

 と言いますことで、ナナは喜び勇んで快諾した。

 …にしても、こけしちゃんの言う“ふたり”って、どなたとどなた?






 じつはそんなこけしちゃんも、今夜はゾーラ先生とデートでかなりドキドキィィしてはおります。

 羚亜もなんだかソワソワしており、愛羅は瞳がキラッキラで。

 ギャラリーさん方はなぜだか少し、哀愁を漂わせておる。







 「うわぁ、楽しみだなぁ!」
 今日が何の日か知る由もないナナは、はやく帰って大好きすぎる最愛の彼氏と一緒に例の小説を読みたいらしい。


 (三咲さん、まぁいつもだけど、今日もすごいはしゃいでる…、無理もないね…)
 周りの皆さんは、なんとなくホロリ。





 キーンコーン――――…

 そして予鈴は、鳴っちゃいましたので、

 「じゃあこけしちゃん!わたし席に着くね!」
 「うんぅぅ。」

 未だ興奮中のナナは、席へと戻ったのでした。












 (いやぁ、こけしちゃんはいつも、書くの早いなぁ!すごいなぁあ!)
 たいそう感心しながら、席へと着いたナナは、

 (はうあ!ノートぉぉぉおお!)

 しかとノートを手に、持ったまんまだったと気づいたのだ。




 そろりそろり…

 ひとまず引き出しのなかへ、潜ませようとしたナナさんは、

 ちらり

 隣の様子も窺ってみた。




 「どーした?」
 ノートを目の前にしても、薔の雰囲気は特に険しくありません。

 (あれれぇ?)
 ドキッとしたナナが、頬を赤くして目をぱちくりさせたところで、

 「よお!みんな!おはよう!先生は今日、そんなに出費がなくて済んだぞ!自慢だからな!?これ!奥さんいるから!」

 言い訳がましい朝の挨拶とともに、無駄にテンション高すぎる吉川が教室入りした模様です。

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