※※第137話:Make Love(&Kissy).74






 そして、やってまいりましたは、

 土曜日!






 じつはこの土日は、けっこうナナと薔は忙しいのでございまして、

 ピンポーン

 朝早くから土曜日にも、来客があったんです。






 ガチャ――――――…

 ドアを開けるとそこには、屡薇が立っていて、

 「おはよ、お迎えにきたよ。」

 あっけらかんと、片手を上げて朝のご挨拶。






 「お迎えなんて、ありましたっけ!?」
 「頼んでねーだろ。」
 ナナはびっくり仰天、薔はとたんに不機嫌となる。


 「俺さぁ、デキる男になろうと思って気ぃ利かしたんだ。」
 屡薇はちょっと誇らしげに、笑って言った。

 「安心して、俺免許持ってねぇからタクシーで行くから。」





 ……そうでなきゃ困るだろ!










 「………………。」
 ナナは目をぱちくり、薔は呆れ返る。

 そんでもって、

 「あ、そうそう、当日になっちゃったけどさぁ、」

 屡薇は手作りっぽい歌詞カードを、みっつ、差し出してきた。

 「これ見てイメージ膨らませてもらおうと思って。ひとつは俺の天使、花子ちゃんのね。」










 「作詞作曲俺だから。」
 「おおおっ!?」
 「…勝手にてめえの天使にすんな。」

 ……屡薇くん、当日に断られないよう、気をつけて!






 「俺もさ、犬いいなぁと思ってんだけど、まだいねえから花子ちゃんを俺の天使にさせてよ。」
 「断る。」

 そもそも天使の件につきましては、とっくに花子自身に断られてるんだけど、

 (…………ん?)

 ナナはとある漢字を、発見してしまったのである。








 作詞作曲:屡“薇”







 (……んんん?)

 顔を上げたナナさんは、大好きすぎる最愛の彼氏をど真ん中にして隅っこにもお隣さんを眺めてみた。





 「どーした?」
 「ハトが豆鉄砲食らったみてえ、」
 「…てめえにも食らわそうか?」

 ふたりの美形男子は、いささか(?)さきほどから揉めておるようですが、

 (んんんんん――――――――――っ!?)

 ナナはまさしく、鳩に豆鉄砲なのでございました。












 ……そう、お隣さんというポジションに昇り詰めましたけど、

 名前の漢字を知ったのは、

 今日がはじめてだからね!















  …――Does photography succeed!?

[ 173/540 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る