※※第135話:Make Love(&Lips).73
「あのさ、薔ちゃんとこの嫁さん、」
「ぶほおっ!」
寝起きのミネラルウォーターをゴクゴクと飲んでいたナナは、思わず吹いた。
そして、
「…ゲホッ、ゲホッ、なななななんでございましょう!?」
「ちゃんと返事はすんだ、」
またしても、真っ赤っかとなる。
なんだかちょっと新婚さんみたいなので、料理中の薔は悪い気がしていない。
美味しそうな匂いがしている、対面式キッチン越しに、
「俺、回りくどいの苦手だから、率直に言うわ、」
「はい?」
屡薇は言いました。
「旦那さんを一日だけ、俺の彼女にしてぇんだけど、」
「えええええ!?駄目――――――――――っ!!」
えーっ、ぇーっ…(※そういうのはこけしちゃんの小説だけ!なエコー)
「やべ、率直に言うつもりが、“役”入れんの忘れた。」
「そりゃとんでもなくキレイで可愛いですけど、絶対に駄目ですよーっ!薔はわたしだけの彼氏ですもん!」
慌てふためいたナナは、どさくさ紛れにかなり恥ずかしい雄叫びを上げながらむぎゅっと薔に抱きつく。
「それはまぁ、確かに、キレイすぎますし、可愛すぎるとは思いますけど、え?一日だけでいいんで」
そのままどさくさ紛れに、今頃になって食いつき始めていると、
「おい、」
………………はい?
堂々とした声を掛けられた。
「おまえ、俺を火傷させてぇのか?」
あぎゃあああ――――――――――――っ!
「すみません!どさくさに紛れて抱きついちゃいました!」
「そいつは別にいーだろ。」
「えっ!?いいんですか!?」
料理に差し支えなければいいってことだよ。
「あのさ、“役”入れっから、言い直させてくんね?」
存在忘れられてる感が否めない屡薇ではあるが、とりあえずのんびりと訴えてみたのであった。
――――――――…
「えええええ!?そういうことだったんですかぁ!?」
美味しくご飯を頬張っていたナナは、真っ赤になってめっちゃ食いついてきた。
「そ、いい話だと思わね?にしても俺の分だけ、えらく質素なんだけど。」
ほかほかの白米に漬物だけの屡薇は、なんだかんだで箸を動かしながら嫁を味方につけるべくマイペースに奮闘中。
「薔っ!女の子の格好ですってよ!?」
「だから何なんだよ、」
彼女の瞳がキラキラすぎるため、薔はたいそう不機嫌となり、
「わたし、すごく見たいんで、」
言いかけたナナは、
………………はっ!
気づいてしまったのだ。
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