※※第133話:Make Love(+Happy birthday!).71










 星空の下、こころとこころで、

 誓いあいましょう、

 “ふたりはいつも一緒”。














 「…つまり私が一番に、伝えたいことは何かと言いますと…」

 集まった平均年齢は低めの先生方に、わりと年配の先生が講師として熱き指導を繰り広げている。



 (少しも頭に、入ってこないんだが…)
 醐留権は、ホワイトボードと見せかけて、遠くのほうを見つめておった。

 (本日桜葉は16歳になったのだよ、じつにめでたい…)







 公務に集中しろと言うのが無理な話だ、今日ばっかりは。


 (公私混同は禁物と言われたが、私事が気になって混同すらできそうにない…)
 そして醐留権はひどく真剣な表情で、トレードマークの眼鏡越しに本日初めてホワイトボードを見つめてみた。

 (全ての文字が“桜葉 悠香”に見える…)









 (うわぁ、あの先生すごい真剣!あたし眠いのに、偉い!)

 周りにはなにげに、こんな風に映っておる。


 周りにはいっさいお構いなしに、

 (桜葉は、大丈夫だろうか…)

 講義をまったく聞いていない醐留権は、物憂げに彼女へと想いを馳せたのだった。

 (今頃三咲に、泣きついたりはしていないだろうか?)














 ――――――…

 「うおおおん!こけしちゃんのお誕生日なのにっ、ごっ、醐留権先生がしゅっぢょうだなんてぇっ…!」

 むしろナナが泣いていた。






 「ナナちゃぁん、そんなに共感してくれてぇ、ありがとうぅ。」
 こけしちゃんはいつものように、ニコニコしております。

 「ごげじぢゃんは笑っ…っ、ぅぐ…っ、げなげぇっ…!」
 泣きじゃくるナナはほとんどに、濁点を付ける。









 「そんなことないよぉぉ?ハゲ校長はいずれぇ、呪い殺す予定だからぁぁ。」
 言っていることはアレですが、こけしちゃんはキュートににっこにこでございます。

 「そうだよ!こけしちゃん、かっこいいよっ…!」
 濁点は抑えられたようで、涙に濡れた瞳をナナはキラキラさせ始めた。









 「………………。」
 「ワン(私も協力する)!」


 薔は不機嫌かと思いきや、今日ばっかりはそうでもございません。

 ちなみに土曜日でございますので、こけしちゃんのお誕生日パーティーを愛のマンションにて開いております。




 「薔くんの雰囲気が険しくない!」
 「あたしも校長呪っとく!」

 もちろん、羚亜と愛羅も出席。





 …――そう、だって今日は、こけしちゃんのお誕生日なんだもの!

 なのにゾーラ先生は、不在というかなしき現実。

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