※※第92話:Make Love(&Drop).38
それでもふたりは特に急ぐこともなく、手を繋ぎイチャつきながら登校していったんだとさ。
その頃、職員室にて。
「はぁ……」
珍しくなのか、醐留権は実に浮かない表情で溜め息をついた。
「どうしたの?醐留権先生、」
半ば目の前に座っている横科が、目をぱちくり尋ねてみる。
「あぁ、やけに頭上が眩しいと思ったら、ヨコシマ先生でしたか…」
「ちょっ、憂いを含んだかっこいい顔で、さりげなくひどいこと言わないでよぉ!」
そして横科は、ちょっと青ざめた。
「それがですね、ヨコシマ先生、」
「何か間違ってるよ!?未だに!」
頭皮を両手で覆い隠し横科はぶるぶると震えておりますが、醐留権はとても険しい顔つきで、こう呟いたのです。
「私がこの世で最も会いたくない人物が、あろうことか本日、日本に帰ってくるのですよ……」
と。
…ゾーラ先生、それはもしや、あのお父さんのことかい!?
(あぁぁ、ナナちゃぁん、よかったぁ、間に合ったねぇぇ。)
教室にて、おっとりと胸を撫で下ろす、こけしちゃん。
どうやら、ナナと薔は無事、遅刻を免れたようでして。
まぁ、ホームルームは間もなく、始まっちゃうんですがね。
「よお!みんな、おはよう!先生はとりあえず三日間だけ、酒を断つことにした!」
…………へぇ〜。
この日、吉川はいつも通りムダにテンションが高かった。
ところが、そんな吉川のテンションによってではなく、共に参加した醐留権は憂愁の色を漂わせており。
(あぁぁ、ゾーラ先生ぇ、どおぅしたのぉ?愛情のもつれぇ?)
ぽわんとするこけしちゃんのなかでは、×親友の彼氏で色んな設定が浮かんできちゃうのですな。
……そちらはまた、今後の執筆活動に生かされてゆくことでしょう!
………………たぶん。
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