※※第110話:Make Love(&Sex aid).3
さあ、ついにやってきてしまいました、
12月31日、それすなわち、大晦日!
泣いても笑っても、今日で一年は終わりです。
でも、新しい一年がまたやってくるから、泣いたって笑ったっていいじゃないの。
――――――――…
「…慎はほんっと、一度言いだせばムリにでも押し通すな。」
この日慎は、中学生の兄とわりと近所のコンビニにお菓子やなんかを買いにやって来た。
「いちいちうるせえな、兄ちゃんは、」
付き添ってもらっているにも関わらず、仏頂面の慎は生意気でございます。
…………ムカッ、
とした慎ズ兄だったが、何も言わずにコンビニへと入った。
「いらっしゃあせ〜。」
なんだかインテリを気取っている青年が、爽やかとは言いがたいような接客をしてくる。
とりあえずそれは無視し、慎はドリンクコーナーに直行したのだけど、兄は雑誌のコーナーで立ち止まっていた。
(…届かないじゃん。)
お目当てのドリンクに手を伸ばすものの、あと一歩のところでどうしても届かない。
(くっそ、あのクソ兄貴、はやくこっち来いよ、)
などと思いながら、慎がちょっとムキになっておりますと、
ひょい
何者かがそれを、さきに手にしちゃったのだ。
(…………あっ!)
と思った慎だったが…、
「ん、」
そのひとは自分が手にしたドリンクを、慎に差し出したのだった。
「あ、ありがとうございます、」
慎はそれを受け取ってから、
(…かっけえぇーっ、)
惚れ惚れした。
(おれもあんだけかっこよくなって、司を早くモノにしてえな、)
とか、やっぱり意中の男の子のことを考えておりますと、
「ほぎゃあ!」
突然、すっとんきょうな声が響き渡ったのである。
「いいいきなり後ろから、お声をかけないでくださいよ!もんのすごく、気持ちいいんで!」
「おまえはやっぱ、耳弱ぇな、」
先ほどの惚れ惚れイケメンと、おそらくコンビニのバイト上がりなのであろうな女の子(※真っ赤)が、なんだかイチャイチャしております。
(よ〜し!おれも来年は、司とあんな風にイチャついてやるぜ!)
めっちゃ気合いが入った慎は、レジへと向かったのでした。
「…あれ?慎どこいった?」
雑誌に夢中になっていた慎ズ兄は、しばらくしてから置いてかれたことに気づいたんだとさ。
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