※※第108話:Happy Birthday(&Christmas Eve!).2










 …――――…ホワイトクリスマスがロマンチックだなんて、いったい誰が決めたの?

















 「………………。」

 寝起きの薔は、スマホの画面を黙って見つめていたのだが、

 「ナナ、起きろ。」

 隣でぐっすり眠っている、彼女を揺り起こした。


 「んんん…」
 まだ眠そうなナナは、ちょっと赤い気がする両目をこすり、おもむろに目を覚ます。




 その赤みに、ちゃんと気づいていた薔は、あたまをやさしく撫で、言いました。


 「よかったな、今日は学校休みだぞ。」



















 ――――――――…

 「あぁぁ、大人のメイクって難しいぃぃ。」
 こけしちゃんは、ニコニコと困り顔でファッション雑誌を眺めていた。

 「やったあ!今日は学校休みだあ!」
 司は飛びはね、喜んでおる。


 「ちょっとぉ、司ぁ、静かにしててよぉぉ。」
 「姉ちゃんこそ、自分の部屋で悩めよお、」
 リビングにて、相変わらず仲良しな桜葉姉弟でございます。





 「………………、」

 桜葉宅ファーザーは、朝からおっとり仏頂面だった。

 「お父さぁん、遅れるといけないんで、早く出ないとぉぉ。」
 「んぅ、あぁ、あぁぁ、」
 マザーはすでに出勤の準備万端で、ファーザーだけが渋っております。



 「父ちゃん母ちゃん、道を歩くときは気をつけてねえ?」
 「はぁぁいぃぃ。」
 そして父の背中をぐいぐいと押し、リビングを出て行こうとした母は、振り向いて、

 「悠香ぁ、今日はちゃぁんと、間に合うように帰ってくるからねぇぇ。」

 と、言い残していったのでした。

 バタン――――――…






 「いってらっしゃぁぁいぃ。」

 こけしちゃんもニコニコと、手を振ってお見送り。











 玄関にて。

 「母さぁん、あまり押さないでくれぇぇ。」
 「お父さぁん、押してるのは司ですぅぅ。」
 「父ちゃーん、母ちゃんを困らせちゃダメだよお?」



 こんな風に、見た感じは和気藹々としておったのですが、

 (あぁぁ、困ったぁぁ。)

 父は内心、あたまを抱えていた。

 (悠香よぉ、ゾーラ兄ちゃぁんてひとはぁ、いったい何語を話すんだぁぁ?)









 ……主に日本語です。



 どなたかはやく、お父さんの悩みを解消してあげて!











 「ふぅぅ…」

 こけしちゃんはいったん雑誌をテーブルの上へ置き、にっこりと呟きました。

 「ナナちゃぁん、プレゼントは決まったかなぁぁ?」

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