※※第106話:Make Love(&Hand cuff).50







 ちゃんとお許しが出たため、ナナはバッチリこけしちゃん宅にお邪魔しておりました。

 「おおお!何となく覚えてるよ!」
 「ナナちゃぁん、さすがぁぁ。」
 うろ覚えの手順がわりと正確であるナナのとなり、こけしちゃんは相も変わらずにっこにこで。




 「“あなたの郵便受けに、愛と正義をお届けします…”、」

 そして司はゲイちゃんと仲良く、新しく始まる予定の「民営ヒーロー・ポストンジャー」ごっこをイメージで繰り広げております。




 生地はだんだん出来てきまして、

 「こぉぉらぁ、司ぁ、あんまりゲイちゃぁんを困らせるんじゃないのぉぉ。そもそも何でぇ、慎くぅんとデートしてないのぉぉ?」

 エプロン姿のこけしちゃんは、おっとりにおいてプリプリし始めた。


 “おれ、さほど困ってねえけどな、”
 ゲイちゃんは実のところ、眠たいので司にはあまり構っておりません。




 そのとき、

 「正義のヒーローを邪魔するヤツは、逮捕してやるーっ!」

 なんでそこで公務員になっちゃった?というお話ではあるが、司はポケットから玩具の手錠を取り出し、

 ガチャ――――…

 掛けちゃったのだ。

 ナナに。





 えぇえええ――――――――――――っっ!?


 ナナはたいそう、びっくり仰天した。
 そりゃ、どうせ逮捕されるなら……ねぇ。





 「わたしが捕まっちゃったよーっ!」
 「司ったらぁ、何やってるのぉぉ?」
 「いっけねえ!おれ殺されるーっ!」

 ………………はい?




 勢いでついナナに手錠を掛けてしまった司は、大慌てで鍵を探し始めた。


 「あれ?ない、ないよーっ!」
 「………………。」






 手当たり次第に必死で探した司でしたが、どこをどう探してみても見つからないため、

 「うえーん!薔兄ちゃん、ごめんなさーい!」

 大声で泣き始めた。



 「なぜにわたしには謝らないのかな!?」
 ナナは、真っ赤っか。


 そんな親友の肩を、

 ぽぉぉん

 と叩くと、

 「ナナちゃぁん、」

 ニコニコとこけしちゃんは言いました。

 「大丈夫ぅぅ、薔くぅんが何とかしてくれるよぉぉ。」

 ってね。




 「それはそうかもだけど!」
 「鍵が見つかるまでの間ねぇぇ。」
 「うええーん!」






 “おれの眠りを妨げんなよ、…まぁ、後は兄貴に任せるか、”

 ゲイちゃんは既に、うたた寝モード全開であったとさ。

[ 222/538 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る