※※第105話:Make Love(Climax?).49






 申し遅れましたが、時はすでに木曜日の休み時間でございます。



 「はぁぁ…」
 こけしちゃんは小さく、ため息をついた。

 「こけしちゃん、どうしたの?」
 隣に座っていたナナが、目をぱちくり尋ねる。



 「ナナちゃぁん、とうとう司がねぇぇ、慎くぅんのものじゃなくなっちゃうみたいなのぉぉ…」
 「えええっ!?そうなの!?」
 「そぉぉなのぉ。」

 おっとりにおいて愁いを含むこけしちゃんの話に、必死で追い付こうとするナナであります。


 「いっそねぇぇ、司が恋しちゃったことに嫉妬したぁ、慎くぅんのでっち上げだったらいいなぁ、って、思っちゃうくらいなのねぇぇ、複雑ぅぅ。」
 「なんか、こけしちゃんが書く小説にありそうだね!」
 「エヘヘぇ。」



 ……こけし姉さんは、知る由もない、

 じつはそのまんまだということを!







 「あぁあぁぁ、今日はナナちゃぁん、バイトがお休みみたいだからぁ、ウチで愚痴でも聞いてもらおうと思ったんだけどぉ、ナナちゃぁんも今日は大切な用事があるのねぇぇ。」
 「そうなんだよね、こけしちゃん、ごめんね…」
 「謝ることはぁ、ないよぉぉ。」
 申し訳なさげに返したナナでしたが、こけしちゃんはにっこにこと言い聞かせました。




 しかし、ナナにできた、大切な用事とは…?














 (ううう…、どうしよう……)
 じつは内面、かなり気が気ではないナナは、あたまを抱えた。

 (今日はあのひとが突然、“話がある”とだけおっしゃったからなぁ…)

 と。





 (こないだあんなことがあったばかりだし、考えたくもないけど…、お別れとか切り出されるんじゃあ……)
 などと考えだすときりがなくて、だんだん悪い方向へ持っていってしまう。





 ……信じられたり不安になったり、ひとを好きになるって難しいよ……









 「はぁ……」
 「はぁぁ……」

 ナナとこけしちゃんは、並んで同時にため息をつきました。

 「ナナちゃぁん、乙女って大変だねぇぇ…」
 「そうだね、こけしちゃん…」








 …――乙女たちの悩みは、無事、払拭されるのだろうか!

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