※※第105話:Make Love(Climax?).49
どうか、切り裂くように、
…――――love me.
...and embrace me.
「凛ちゃーん!」
司は元気よく、朝から意中の女の子に声を掛けてみた。
「なあに?司くん、」
こけしお姉ちゃんほどでは到底ございませんが、凛ちゃんはわりとニコニコ返事をします。
「凛ちゃんてさあ、クリスマスは誰と過ごす予定?」
「イブならダディとマミィと過ごすけど、クリスマスは予定ないよっ。」
……ダディとマミィ…?
ツッコミどころがいまいちよくわかりませんが、凛ちゃんがそう答えたあと、
「ならさ、良かったらおれと、クリスマスの甘い夜を、すすす、す、す…」
さっきまでの元気はどこへやら、司はとたんにもじもじし始めた。
「?」
きっとお嬢なのであろうな凛ちゃんは、キョトンとしております。
そのときだった。
「司!こっちこい!」
ぐいっ
どちらかと言うとガキ大将な男の子が、司の首根っこを片手で抱えて、連れて行ってしまったのである。
「??」
凛ちゃんは、未だにキョトン。
「慎くん!…ぐるじい!」
司は暴れておりますが、ぐいぐいと廊下まで歩いて行った慎は、
「司のくせに、抜け駆けなんてずりぃぞ!お前はただマスクァレイジャーのケツでも追っかけてりゃあいいんだよ!」
と、迫ってきた。
「マスカレイジャーはもう、終わったもーん!」
「うるせえ!口答えすんな!」
そりゃ、慎くんも凛ちゃんが好きだって言ってたし、無理もないよねぇ。
親友がいたくご立腹なため、
「抜け駆けじゃないやい、慎くんだって誘おうと思ってたもん……」
司は若干、口をとがらせふてくされた。
すると、
「だいたい司は、女みたいな可愛い顔して、いっちょまえに恋なんて生意気なんだよっ。」
と、慎は更にきつく言ってきたのだ。
………………あれ?
「慎くんだって凛ちゃんのこと、好きって言ってたくせにい、」
「あ、ああ、まあ、言ったかもだけど…」
…………あれれ?
「と、とにかくっ、司はピュアなんだ、だから抜け駆けとかすんなよ?クリスマスは公平に、ふたりっきりで過ごそうぜっ、」
「えーっ!?」
……あれれれれれ?
背景にちょっとした白いあの美しいお花が見え隠れしておりますが、ふたりして教室に戻る際のこと。
「でも、凛ちゃん可愛いから、他の奴が誘っちゃったらどうするんだよお、」
「心配すんな!凛ちゃんも可愛いけど、司のがもっと可愛いぜ!」
「えーっ、なにそれーっ!?」
とか言いながら、慎は司の肩を叩いたのだった。
……ちょっと!
どなたかここに、連れてきてあげて!
こけし姉さんを!
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