※※第91話:Make Love(&Bite).37






 こけしちゃんと綿密な乙女トークを終え、喜び勇んだナナは半ばスキップで席へと戻りました。

 (あああ、こけしちゃんはやっぱり、頼りになるね!いいこといっぱい聞いちゃったよ!)
 内面でハイテンション中のナナさんは、席に着いて間もなく、

 ぎゅっ

 ほっぺたをつねられた。



 …………ほえっ?


 何事かと思い、恐る恐る隣を見ると、

 「………………、」

 片手で机に頬杖を突き、薔は黙って見つめながらナナのほっぺたをふにふにしております。



 ……はわわわわわわぁ!?


 「どうなさいふぁしたぁ!?」
 ナナはとにかく、真っ赤っか。

 「………………、」
 未だ無言の薔は若干(なのか?)、ふてくされておるのだと。






 ……ホームルーム始まっちゃうんだけど、羨ましすぎるよ。

 悶えるギャラリーさん方はそれでも、各自教室へとしぶしぶ戻っていきました。



 ……あの〜、そろそろもうだいぶくすぐったいんですけど〜。

 とも到底ツッコめず、クラスメートの皆さんはぶるぶると赤面したりしております。




 しかし、予鈴は既に鳴っちゃっておりますので、良くも悪くもホームルームはもうすぐ始まるのであった。













 ――――――――…

 「ところでこけしちゃんは、あのっ、編み物というのはできるの!?」
 「いちおうねぇぇ。」
 「すごすぎるよーっ!」

 はい、只今絶好調に、休み時間でございます。


 「編み物って言うくらいだから、何かを編むんだよね!?わたしは編み物って、主に何を編むのかすらよくわからないよ!」
 「ナナちゃぁん、それはある意味貴重かもぉぉ。」

 素直に述べたナナの前、とにもかくにもにっこにこのこけしちゃんは、

 「でもねぇ、ナナちゃぁん、今は編み物とかぁぁ、逆に重すぎて萎えるって言われてるよぉぉ?」

 と、近年の傾向を明かしたのでした。



 「なるほど!こけしちゃん、編み物とは、縄とか鎖とかどちらかと言うと重たいものを編む物なんだね!?」
 「ナナちゃぁん、あのねぇ、そういう重いじゃないのねぇぇ。」
 「なるほどーっ!」


 ……この乙女トークが、にっちもさっちも行かなくならないのが不思議なくらいであります。

 それよりなによりナナさんよ、例えヴァンパイアであっても、その歴史の中で一度くらいは編み物にも触れておこうよ。

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