※※第91話:Make Love(&Bite).37
『You're like medicine and are dearest like poison.』
…――真っ赤な愛撫を、最愛の毒牙で。
理性なんて噛みちぎって、
狂うほどの絶頂へと、
深く立ててCountdown...
――――――――…
「はぁぁいぃ、ナナちゃぁん、これねぇぇ。」
こけしちゃんは実ににっこにこと、スクバの中から、とある雑誌を引っ張り出した。
「こちらは…?」
目をぱちくりさせ、ナナはその雑誌をまるで卒業証書のように受け取ってみた。
(……んん?)
そして目を凝らして見る、ナナ。
はい、BLの予想は覆されたようでして、こけしちゃんがニコニコとナナに手渡した雑誌とは、何だかガーリーなファッション雑誌でございました。
しかも、目立つ字で書かれたこの号の特集はなんと、“カレの心をくすぐるクリスマスプレゼントはコレ!”みたいな内容だったのである。
「うはぁ!」
ナナはこれでもかというくらいに、熱くテンションが急上昇。
ですので、その雑誌を両手で持ったまんま、
「こっ、こけしさま…!」
と、輝く瞳で親友を見つめ、敬いの声を振り絞ったのでした。
「?」
突然、“さま”で来られたため、こけしちゃんはにっこりとはてなマークを浮かべる。
「こちらを、わたくしめがご一緒に見ても、よろしいのでしょうか…?」
感動ひとしきりのナナさんは、明らかに親友に対しての言葉遣いじゃなくなっちゃっております。
「もちろんだよぅ、ナナちゃぁん、一緒に見ようぅぅ?」
「こけしさまーっ!」
とうとう、喜びのあまりナナは、こけしちゃんにひしと抱きついたのであった。
しばらく抱き合った後。
「ととととところで、こけしちゃんっ…!」
「なぁぁにぃ?ナナちゃぁん、」
無事“ちゃん”に戻され、ちょっとホッとしたこけしちゃんに向かって、赤面中のナナはコソコソとこんなことを尋ねてきたのだ。
「クリスマスプレゼントとおおお誕生日プレゼントが、ご一緒の場合は、どうしたら良いのかもこちらには書いてあるのでしょうか…!?」
ってね。
「まさかぁぁ、ナナちゃぁん、」
ニコニコと悟ったこけしちゃんの前、
コクコク
とナナは力強く、赤いほっぺで頷いております。
なるほどぉぉっ、
にこぉっと納得したこけしちゃんも、頷いて返したのでした。
ナナとこけしちゃんが、乙女なトークに花を咲かし出した頃。
「あっ!そう言えば!薔くん、土曜日は楽しかったね!」
「あ?」
見ようによっては、こちら様は、やお……
いや、そんなことないか、もう。
羚亜ははしゃいでおりますが、薔は只今やはり、たいそうご機嫌ななめでございましたとさ。
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