※※第102話:Make Love(&Creme fraiche).46
『感染してゆく深い愛、
欲しがり尽くせ、
…――互いのすべて。』
それでは、まいりましょうか!
早くも“一緑旋風”最終日でございます!
「ハリーさん、一昨日からそのお茶ばっかり飲んでるわね。」
ナナ父が出勤した後、キッチンで“さつまりこ”を食べながらくつろぐナナ母が、いつまでも居候しているハリーへとサクサク声を掛けました。
バックグラウンドミュージックに、わりと大音量の演歌が流れている。
「OH〜!ハニーサーン!こちらのおティーはきっと、娘サンがぜんぶの世界でいっちばん大好きなかたが、集めておりマース!」
かいつまんだ話しか聞いていないのか、なハリーは明るく返す。
普段からわりと大声なので、演歌の中においてもさほど聞き取りづらくはない。
ふたりはキッチンにて、向かい合ってのほほんとお話をしております。
「それはきっとナナのためね。ほんといい子だわ、薔くんは。」
「HAHAHA〜!なんてったって、世界遺産デスカラ〜!」
「素敵な表現だけど、ハリーさん、若干話が噛み合っていないわよ。」
高らかに笑うハリーのまえ、相も変わらずサクサクと返すナナ母。
そして、
「OH〜!実は、本日はワタクシ〜、実穂子サンにこの幸せの黄色いラベルを渡すべく〜、学校まで会いに行ってまいりマース!」
頬を赤くして、ハリーがこんな報告をしてきたため、
「あらそう、よかったわね、ハリーさん。」
さつまりこを頬張りながら、ナナ母は力強く微笑みました。
「くれぐれも、不審者には間違われないようにね。」
「Yes!」
……ナナ母はやっぱり色々、わかってらっしゃいますな!
ハリーさんは無事、愛する葛篭先生のもとへ“幸せの黄色いラベル”を届けることができるのだろうか!?
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