Count


儚いときを
数えましょう

ひとつふたつ…

止まない雨を
浴びましょう

そっと優しく…


あなたはきっと
迷い子で

鬼さんこちら…

もう日が暮れた
帰りましょう

手と手つないで…

夕日の赤は
この体内より紅くて
見透かされたように
頬を染める

ポケットのなかに忍ばせた
ナイフのような愛
あなたを裂くには
十分すぎる
あなたを護るには
なんて未熟


冷たいときを
数えましょう

ひとつふたつ…

生ぬるい雨
浴びましょう

そっと目を閉じ…


だってわたしは
生きてるもの
あなたのように
抜け殻でも

あぁ
あなたを想う…

どうか安らかに

可哀想なんて言葉は
相応しくないから
そっと唇に
刹那のキス

指先に遺るのは
ぬくもり?
ときめき?


ポケットのなかに忍ばせた
ナイフのような愛
あなたを裂くには
十分すぎる
あなたを護るには
なんて未熟


戸惑いすぎた
この夏は

秋へと移る…

そして冬がきて春になり
また夏になっても

あなたはいないよ…

もう会えないよ…

海に沈んだ「さよなら」を
かき集めたなら


初めてわたしは
知るでしょう

あなたのいない
絶望を……

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