※※第52話:Make Love(with Sex aid!).1






 8時になると、ちゃんと花子が起こしにやってきた。

 なのでみんなして、美味しく朝食の時間と相成りました。




 「そう言えば、昨日は、お夕飯食べてませんでしたね!」
 「そうだったな。」

 はい、昨夜はですね、よくよく振り返ってみると、夕食も摂らずにおったのですよね。


 「お腹空いてたんですが、忘れてました!」
 朝からテンション高いナナさんは、薔の作った料理と、セックス挟んで出来たナポリタンもきちんと美味しくたくさん戴いていた。

 「おまえはほんと、美味そうに食うよな。」
 薔はコーヒーを飲みながら、笑って言います。


 よって、ナナは真っ赤になったが、気づくとほとんど平らげていた。



 すると、

 「なぁ、ナナ、」

 薔は言いました。

 「ちゃんと食ったら、出かけるぞ。」

 とね。


 「え?どちらにですか?」
 ナナはキョトンとして、
 「行けばわかる。」
 意味深か、薔は微笑んだ。


 「わ、わかりました!」
 気になるところではあったが、きちんと完食したナナなのでした。









 「行くぞ。」
 「はいっ!」
 支度を済ませ、ナナと薔はお出かけです。
 ちょっとした荷物を、薔が下げて持っております。

 「ワン!」
 玄関で尻尾を振りながら見送る花子に、やはりお留守番は託された。








 天気は良いが、けっこう風が強い日だった。


 途中、花屋さんで、ふたつ花束を購入した。
 ひとつはナナ、ひとつは薔が、持って歩いた。



 しばらく歩くと、

 (あ、この道は―――――…)

 どこに向かっているのか、ナナにも見当がついた。







 そして、とても懐かしい、霊園にふたりは差し掛かった。

 風のなか、どこからともなく、蝉の声が聞こえてくる。


 懐かしさに、しばし立ち止まったナナだったが、

 「なにしてんだ?」

 薔の声で我に返り、

 「あ、すみません!」

 再び、共に歩き出した。







 やがて、その場所へと辿り着いて。

 「わたし、お水汲んでまいります!」
 この日は、ナナが積極的に申し出た。

 「ん、」
 薔は微笑んで応えたので、記憶をたどるように、ナナは水汲み場へと向かったのでした。

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