※※第88話:Make Love(&Love sick).35






 ナナをバイトへ送り出し、帰宅した薔は花子と何やかんや(←エロくないよ)をしておったのです。


 ナナが帰る前に、夕食の支度をしておこうと思っていた彼は、

 「ん?」

 珍しくか携帯に醐留権からの着信があり、電話を繋いだのですな。



 「俺に何の用だ?」
 薔の第一声はこちらで、
 『今日は本当に助かったよ、あの後すぐに、桜葉は見つかったんだ。』
 醐留権は笑いながら、こんなことを言ってきた。



 「良かったじゃねーか、切るぞ。」
 『待ちたまえ!私はまだ一言しか喋っていないんだ!』
 「あ?」

 若干慌てた醐留権は、

 『暮中、今日の放課後、葛篭先生を探していた理由を、聞かせてくれないか?』

 と、本題を切り出した。




 「あんたに話してどうなんだよ、」
 薔は立派に返しましたが、

 『いや、実は…』

 醐留権は電話越しに、こけしちゃんと放課後耳にした内容を明かし始めた。












 ――――――――…

 「あっ!チーフ、もう上がりですか!?」
 例の青年は、にこっとナナに明るい声を掛けた。

 「あの、そのチーフっての、やめてほしいんですけど…」
 「あっははは!やだなぁ、チーフったら!」

 ナナはどうやら、バイト二日目にしてチーフにまで昇り詰めたらしい。



 (仲良くなって、良かったわぁ!)
 店内の窓拭きをしている店長さんは、ホロリとしております。


 すると、そこへ、

 「ナナ、帰るぞ。」

 薔が迎えにやってきた。




 「薔ーっ!」
 およそ三時間ぶりに会えたナナさんは、めちゃくちゃ歓喜に満ちた。

 青年くんはレジの下に隠れ、

 (うらやま…)
 うっとりする店長さんは、窓ではなくお客さんのスーツを拭いていた。




 「あの〜、」
 「あらやだ!素敵なスーツでしたもので、つい、」

 店長さんは上手くピンチを乗り越え(たのか?)、ナナと薔は手を繋いで仲良く帰って行ったのでした。











 帰り道。

 「ナナ、」
 「は、はいっ、」

 ふたりして夜空に白く息を上げるなか、薔は微笑んで言ってきたのです。

 「明日の夜は、出掛けるぞ?」

 と。





 「かしこまりましたぁ!」
 「今夜は早く寝るか?」
 「えーっ!?」

 こんな風にイチャつきながら、ふたりは11月の夜道をあたたかく手を繋ぎ歩いていった。

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