※※第84話:Make Love(+Vampirism).31








 抜いてから気づいてみると、時刻は夜中の3時になろうとしていた。


 本日は日曜日なので、おそらく問題ないのですが、

 「あのぅ…、」
 「ん?」

 このまま寝るのかと思いきや、ナナはとある質問をしてみた。

 「挟むって、何を挟むんですか…?」








 「………………。」

 否応なしに、呆れる、薔。


 (もももももしや!)
 ナナはようやくピンときたみたいですが、時既に遅し、かと。




 「おまえって、ほんとすげぇな、どーせなら挟んでみっか、」
 「はいーっ!?」

 期待によってか羞恥によってか、彼女が真っ赤になったところで、

 「ナナ、」

 とんでもなく妖しく、薔は誘惑したのでした。

 「ここまできたら、朝までベッドの上から逃がさねぇぞ、」























 ―――――――――…

 真夜中だというのに、チャイムの音が聞こえて、オンナは目を覚ました。


 怪しく思えて仕方なかったが、重い目を擦り、インターホンの玄関モニターを、見てみる。



 「―――――――――…!?」


 瞬時にオンナの両目は、見開かれ、急いで玄関の、ドアを開けた。



 最近、オンナは、眼科へ通い始めたばかりだった。

 その目で、目の前にいる“最愛の男性”を、まるで夢を見ているかのようで、凝視したのだ。





 男は、笑って言った。

 「聞いたよ、君はいつでも俺の手を焼かせるね。」










 「なん…で…?」

 次の瞬間、オンナの腹部からは血が溢れ出ていて、

 「不味…」

 ナイフに付いた血を舐めた男は、まるでルージュを引いたようなくちびるで、微笑んだ。



 「俺はずっと待ってるんだ、果実が甘く熟すのをね。」








 ドサッ――――――…


 オンナの体は冷たい玄関へと、崩れ落ちた。


 「今回ばかりは少し、お悪が過ぎたようだ。」
 男は、モスグリーンのコートを翻し、闇の中へと消えてゆく。





 「りゅう…き…」

 薄れゆく意識のなか、オンナは確かにその名を呼んだ、もう二度と、届かない声だとしても。













 『To the insanity smeared with blood, it's the sanction of the insanity of love.』

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