※第81話:Love(+Quarrel?).47







 ズ――――――ン…


 (お、怒らせてしまった…)

 ナナはとんでもなくお久しぶりに、机へと突っ伏しておりました。
 もちろん、次の日、ここは教室でございます。


 (態度はいつもと変わりませんのに、ぜんぜん、触ってくださらなくなっちゃいました…)

 シクシク(※こころの嘆き)…

 しょげ返って、どんよりのナナの隣、薔は半ば席にふんぞり返って、平然としておりますね。




 …何事だろう?いつもと雰囲気、違くない?

 周りの皆さんは、ただならぬ空気を感じ取って、騒ぐどころではありません。




 そのとき、まだホームルームにもならないというのに、教室の中へ醐留権が入ってきた。


 生徒らとちらほら挨拶を交わし、歩いてきた醐留権は、

 「さ、桜葉、おはよう、」

 こけしちゃんの席の前へと、勇み立ったのです。



 当のこけしちゃんは、

 つぅーん

 としておる。



 「ちょっと、話があるんだが、今いいか」

 ガタァッ

 醐留権の話を珍しく遮り、黙って立ち上がったこけしちゃんは、

 おっとにおいてのツカツカで、親友へと向かって歩いてきた。




 「行こうぅ?ナナちゃぁん、」
 「おわわっ?」

 ツンツンしているこけしちゃんは、机に突っ伏していたナナを引っ張り、教室を出て行きました。


 そうです、昨日、こけしちゃんと醐留権のデート模様についていっさい触れなかったのには、理由があったのです。

 どうやらふたりは、めでたき初体験の後に、初の喧嘩をしてしまったようでして…




 「桜葉…」
 息を呑み、見送っていた醐留権は、

 (………おや?)

 気づいたのだ。


 薔がそちらをちらりとも見ず、やけに平然としていることに。






 「暮中、どうしたんだ?いつにも増して、ポーカーフェイスじゃないか、」
 「あ?」
 すぐさま、薔へと歩み寄ってきた醐留権は、横に立って、

 「ま、まさか、君たちも、」

 何かを言いかけた。



 醐留権のほうすらちらりとも見ず、薔は冷静に答えました。

 「お前らと一緒にすんじゃねーよ、俺んとこのはお仕置きだ。」

 ってね。




 「お仕置きだと!?」
 「あぁ。」

 …いや、君ね、仮にも隣に立っているひと、教師だよ?
 しかも、副担。


 「それはつまり、…放置プレイか?」
 「あ?」

 とか、こけしちゃんがこの場にいなくて良かったんだか悪かったんだか、な光景を醸し出しておりますと、


 ガタン


 ものすごく不機嫌そうなオーラを纏って、前の席に羚亜が座ってきたのです。




 机に頬杖を突いて、羚亜はツーンとしておる。


 「ま、まさか、羚亜、彼女と何かあったのか?」
 覚った醐留権が、尋ねると、
 「愛羅さんの話はしないで。」
 ツンとしたまま、羚亜は答えた。




 「そうか、羚亜もか。ここは皆、やはり仲良しなのだな…」
 「えっ?まさか、要さんと薔くんも?」
 感動している醐留権と、驚いて振り向いた羚亜。


 「俺は加入してねーよ、」
 薔は、呆れております。






 周りの皆さんは、眩しそうに瞳を細めていた。


 …うわぁ、あそこにだけ美が集中しすぎちゃって、

 なんかもう、

 後光が差してるよ!

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