※※第80話:Make Love(&Feel…).28






 「・・・・・・・・・・・・。」

 場はいったん、静まり返った。

 ひょいっ

 その隙に、ゲイちゃんはデーブル上の司のエビフライを、まずは一本頂戴した。

 (何か間違ってたのかぁぁ?)
 父は内心、冷や汗をかいた。




 「あぁぁ、知ってはいるけどぉ、お父さぁんが使うだなんてぇ、悪夢だと思いたいぃ。」
 「父ちゃーん、怒ってるのお?それとも父ちゃんは船なのお?」
 ニコニコと俯く娘と、身を乗り出す息子。


 「悠香ぁ、悪夢だと思いたいのはなぁ、お父さぁんだなぁ。司は乗り物についてぇ、詳しいんだなぁぁ。」
 「うんっ!」
 はしゃいでおりますのは、司のみです。

 「いやぁ、すまんなぁぁ、若い子の間で流行ってると聞いたからぁ、お父さぁんは便乗してみたくなっちゃったんだよぉぉ。」
 「びんじょうはいいから、説教してよ、父ちゃーん、」

 …お父さん、息子さんに説教をせがまれておりますが…






 「うむぅ、」
 父はいったん、ニコニコにおいてなるべく渋めの顔をすると、

 「お前たちぃ、せぇっかくの日曜日だぁぁ、いつもより下手すれば暇なんだぁ、時間は大切に使いなさいぃ。」

 とだけ、言ったのでした。


 「はぁぁいぃ、」
 「うんっ!」
 娘と息子は、素直に受け入れた。




 司は既に腹ペコでしたので、さっそく朝ご飯を食べようとしたのですが、

 「あーっ!おれのエビフライだけ、ないーっ!」

 大騒ぎし始めた。



 「待てーっ!ゲイちゃんめーっ!」
 最後のエビフライを咥え、颯爽と出て行こうとしているゲイちゃんを、司は追いかけようとした。

 「こぉぉらぁ、司ぁ、ゲイちゃぁんだってぇ、お腹空いてたのよぉぉ?」
 こけしちゃんはおっとりにおいて再びプリプリしながら、弟をとっ捕まえた。



 「姉ちゃんはいつも、ゲイちゃんに優しすぎだよーっ!」
 暴れる、司。

 「いいぃ?司ぁ。お姉ちゃぁんはねぇ、特例を除いて全てのゲイの味方なのぉぉ。」
 「えーっ!?なにそれーっ!」





 「はっはっはぁぁ、悠香は頼もしいなぁ、もう高校一年生だもんなぁぁ。」
 父は娘の成長を、手放しで喜んでおります。



 「司ぁ、今からエビフライ揚げてあげるからぁぁ、その間にぃ、ちゃぁんとお洋服に着替えてきなさいぃ。」
 母がニコニコ顔で促したため、

 「ちぇーっ、」

 ひどく不服そうに司は、お着替えへと向かったのでした。









 “ガキどもの躾なら、おれに任せな。”

 さすがは、猫界のサディストこと、ゲイちゃんですね!

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