※※第62話:Make Love!(+Cinema).16
『I will love each other erotically!!』
傷つけたい。
傷つけてほしい。
それでも汚れなき想い、
叫んで、
矛盾へ放て。
やって参りましたは、
土曜日!
「…おい、」
リビングにて、薔は呆れた声を掛けました。
「なんでお前らは、居座ってんだ?」
「色々と届けたついでに、桜葉が三咲と勉強をしたいと言うのでな。」
「エヘヘぇ。」
「こけしちゃん…!」
テーブルを囲んで、ナナとこけしちゃんと醐留権(←セリフと順番が逆になっちゃった)はお勉強タイムです。
ちなみに、羚亜もおります。
「お前は何しに来た?」
「花子さまはどこ!?」
「あ?」
キョロキョロしていた羚亜は、奥からトコトコとやって来た花子を目にした瞬間、パァアと瞳を輝かせた。
「花子さま!」
「・・・・・・・・・・・・、」
眼鏡をくいっとさせた醐留権は、“ウチの羚亜は大丈夫なのか?”と思っている。
「お元気そうで、何よりです。」
「ワン!」
深々とあたまを下げた羚亜のまえ、“あんたのとこに二週間も私のご主人さまいたんだから、その間はぜんっぜん元気じゃなかったわよ”と花子は言っております。
「それより、あんたは教師だろ?こんなことしてて、いいとでも思ってんのか?」
「私はいっさい、教えてはいない。ただ見ているだけさ。」
「なら、帰れよ。」
いささか不機嫌な薔のまえ、醐留権は笑っている。
「うーん…」
ナナは問題集に目を落とし、ちんぷんかんぷんにおいて唸っていた。
「どこがわかんねーんだ?」
「いや、あの、わからないところもよくわからないんです…」
唸りつづけるナナの隣、問題集を覗き込んだ薔は、
「これ使って解いてみろ。」
と言って、何やら公式のようなものを丁寧にノートへと書き込んだ。
「おわ?」
ナナが見よう見まねで、それを使って解いてみると…、
「あ、答えが出ました…」
解けちゃった。
「どれ、」
立派な数学教師である醐留権は、答え合わせをしてみて、一言。
「合っているな。」
「ナナちゃぁん、良かったねぇぇ。」
「えっ、えへへ、」
拍手を送るこけしちゃんのまえ、ナナは照れている。
そのとき、
「そういえば、私は受け持つ生徒のこれまでの成績を、見させてもらったんだが、」
ナナの問題集から顔を上げた醐留権が、言ったのです。
「テストの成績でいつも、暮中は学年トップだが、必ずどこかしらの教科で一・二問は間違えているね。」
と。
「あぁ、全教科満点とか、後々めんどくせぇからな。」
至って落ち着いて、薔は返した。
…………………え?
「わざと間違えているのか?」
「当たり前だ。」
………えええええ!?
周りがびっくり仰天していると、
「……?」
それまでナナのノートの解読をしていた薔が、顔を上げて言ったのでした。
「三・四問のが、良かったか?」
「そういう問題では、ないですって―――――――――っ!」
周りを代表して叫んだナナさんは、真っ赤でぶるぶるとふるえておった。
しっかりお勉強タイムを済ませ、三時のおやつまで頂いたこけしちゃんと醐留権と羚亜は、夕方頃にニコニコと帰っていきました。
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