※第57話:Love(+Sweet!).41







 やがて、帰宅だ!

 花子のお出迎えはなく、ナナと薔はリビングに向かった。



 そしてリビングにて。

 ちゅっ

 「ん…………」

 ふたりがソファのうえ、重なり合い、キスをしていると、


 「帰ってきた途端、何をやってるのさ――――――――っ!」


 羚亜の声が、響き渡ったのでした。




 「あ、そういえば、」
 「お前、もう帰れ。」








 「言われなくたって帰ってやるよ!花子さま、いろいろありがとう!」
 真っ赤でふるえながら、ちゃんと花子さまと呼び続けたらしい羚亜は、いそいそと部屋を出ていった。



 「ワン!」
 花子が尻尾を振って、お見送りをしたところで、


 「つづき、するか?」
 「はい………」


 ふたりはどうやら、堕ちていったみたいである。












 ――――――――…

 カタン…

 その夜、玄関にもある小さなポストに、白い封筒が投げ込まれました。


 タタタタタ…

 足早に歩いてきた花子は、それを咥え、尻尾を振りながらリビングへと戻っていった。





 薔はいつも通りか、夕食の支度をしております。


 ソファで寛いでいるナナの膝へ、

 ちょん

 花子が、前脚を置きました。



 「花子ちゃん?」
 キョトンとするナナへと、花子は封筒を差し出しております。

 「え?なに?」
 封筒を手にしてみると、そこには、

 “ナナちゃんへ”

 とだけ書かれていた。





 (はわぁあ!)
 ようやくナナには、ピンときたみたいだ。




 早く見たいよ、と花子は言っております。

 花子ちゃん、こちらは、ふたりだけの秘密ね?、と目配せをしたナナは、


 封を開けた。





 「かっ、か、かわいいぃ…っ!」







 「花子ちゃーん!かわいすぎるね!困っちゃうね!」
 「ワオ――――――ン!」
 はしゃぎまくる、乙女たち。




 「なに見て喜んでんだ?あいつらは、」
 内緒で撮られちゃった自分の写真だとは、これっぽっちも思っていない薔は呆れておった。
















 ――――――――…

 魔の手が絶えることは、ないのかもしれない。


 「フ…、フフフッ……」

 暗闇のなか、灯りはただぼんやりとで、ひとりのオンナがただ不気味に笑っていた。


 「見…、見つけた……」
 爪を噛みながら、ギラギラした目でとある雑誌を眺めている。



 そしてオンナは、ドス黒い言葉を吐き出したのでした。

 「殺してやる……、11年前、あたしの、竜紀(りゅうき)を、たぶらかしたボウヤ………」












 …――Now, who is it!?

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