※第57話:Love(+Sweet!).41







 「あのぅ……、」
 「なんだ?」
 ホテルを後にし、手を繋いだまんましばらく歩いたところで、おもむろにナナは口を開いた。

 「じつは、明日、お父さんの誕生日みたいなんです…、」

 と。



 「そうなのか?」
 「はい…、ずいぶん長い間、忘れてたんですが、今年になって急にお父さんが、思い出したらしく…、」
 控えめに明かしたナナは、

 「そこで、明日、お誕生日パーティーとやらを開くみたいなんですが、できれば、薔と花子ちゃんにも、出席してほしいらしく…」

 と、つづけました。



 「なら、なんかプレゼントでも、用意しねーとだな。」
 「ええっ!?そういうのは、いいと言っておりましたが!」
 「んなわけには、いかねーだろ。」

 すると、薔は、ナナの手を引いて、

 「おまえの親父が、生まれた日なんだろ?」

 そう言って、微笑んだのでした。




 ナナの胸はきゅうっと締め付けられもしたが、

 「はっ、はい!」


 ふたりは強くそっと手を取り、降り注ぐ日差しのなか共に歩き出した。






 ナナと薔はバスに乗り、噴水の中央公園やなんかがある街へと繰り出していった。












 ―――――――――…

 「こちらの駄菓子を、すべてひとつにラッピングですか?」
 「そうだ。」
 カートに収まりきらない、細々とした駄菓子の数々に、店員はぶるぶると震えている。

 「かしこまりました!大きな袋が、確かございましたので、そちらで包装させていただきます!」
 会計の済んだ駄菓子の山を抱え、店員は奥へと向かっていった。
 包装ができるまでの間、ナナと薔は店内を見て回ることになった。



 ちなみにふたりは、お菓子も豊富に取り揃えている、雑貨屋さんにおります。





 「あんだけ買っときゃ、ふたりで仲良く食べられるだろ。あんま高ぇモンだと、逆に気ィ遣わせるしな。」
 「もう、ほんとありがとうございます!」

 やっぱり手を繋いで、店内を歩いておりますと、

 「ああっ!」

 ナナは、とあるものを発見した。

 「花子ちゃんだーっ!」




 そこには、いろんな種類の、わんこのキーホルダーが置かれておりました。




 「確かに、似てるな。」
 「花子ちゃんは、4つだけ残ってますね。」
 どうやらゴールデンレトリーバーは、4個だけ残っているらしい。



 「ちょうどいいじゃねーか、」
 「はい?」

 ナナがキョトンとするなか、薔はゴールデンレトリーバーのキーホルダーを、買い占めた。




 ふたつはラッピングしてもらい、もうふたつは、

 「こっちはおまえのな、」

 ふたりでお揃いにしたのでした。




 「うぎゃあ!ありがとうございます!」
 ナナは、大感激。

 「さて、帰るか。」

 帰りに荷物は、ちょっとしたサンタクロースになっていた。

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