Affair.3『褒美授与?』












 学校を休みたくて仕方なかった夏ではあるが、今日は授業に体育が含まれていないことと入学式も済ませて間もない時期であるということもあり、親がいじめを心配してもいけないと思い立ち学校にはきちんと行くことにした。
 自分はいじめを受けているわけではないのだ、ただ、美しすぎるけど究極に変な先輩に調教を求められているだけなのだ。


 蕪木先輩はアホなのだから、ちょっとした変装でも身元は割れないだろうと思い、夏はマスクをかけて登校した。
 少しでも目線を下に向けたり俯いたりすれば、ワイヤーの入った上部が目の中に入りそうなくらいの位置で、マスクは着用している。




 マスク効果があったと思ってもいいのか、朝から蕪木先輩に声をかけられるようなことも姿を見ることもなかった。
 夏はホッと胸を撫で下ろしたが、クラスメートたちは昨日強引に蕪木先輩に連れ去られた彼女にいったい何があったのかと、またしても腫れ物に触るようだ。

 「日向さん……そのマスク何とかならないの?」
 「花粉症で目が痒いので何ともなりません」
 「痛いのより痒いののほうが辛いんだね……」
 助演男優賞を取れそうな見た目のわりと老齢の担任教師は、それ以上は何も言わずショートホームルームを開始した。



 (先輩、もう飽きてくれたのかな?)
 時々マスク痛いなと思いながら、教室に様子を見に来ることもなかった奏多のことを、気にかけないどこうと思っている時点で夏は気にかけてしまっていた。

 (昨日みたいなことはほんともう、やめてほしい…)
 いきなりアダルトビデオの世界に引きずり込まれたかのようで、心の準備も何もしないままエッチなことをされてしまった。
 調教の意味を、奏多は根本から履き違えているように思えてならない。


 しかし、口に入れられた彼のモノや出されたアレについてや、勝手に目の前で始められたオナニーなどについては、思い出すだけで耳まで赤くなってしまった。
 このまま目立たずに平和にいきたい夏ではあるが、マスクの位置からして目立ってはいた。

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