Affair.2『調教開始?』
(何か、何かがおかしい)
夏の頭の中は、ひどく混乱していた。
展開が早すぎてついていけないとでも言うべきか、今現在彼女は蕪木先輩の部屋へ向かって腕を引っ張られながら階段を上がっていた。
理事長の甥という肩書きも持つ蕪木の家は、広いうえに部屋がたくさんあり、ここで逃げ出したとしても玄関まで辿り着ける自信がない。
「なっちゃんて、積極的だね、さっそく俺の部屋に遊びにきてくれるなんて」
心なしか蕪木先輩は、息を乱しているように思える。
腕を掴んでいる手も、非常に熱くなっている。
「いやいやいや、これどう考えても、先輩が無理矢理に……」
初恋の相手の部屋に向かっているというのに、夏は甘酸っぱいときめきのようなものは微塵も感じていなかった。
なにより圧倒的な感情は、
「着いたよ?」
(ひぃぃぃい…!)
恐怖である。
蕪木先輩の目はすでに据わっている。
奏多の部屋は高校生男子にしては、妙に広いというか余計なものもなく整然としており、
「それじゃあ、女王様」
「うわっ!」
力を込めて夏を部屋に連れ込んだ彼は、後ろ手にドアに錠をかけ彼女をベッドへ押し倒した。
「始めようか、調教」
「やったことないのでわかりません」
うえに乗られた夏はきっぱりと答えた。
力の限りに蕪木先輩をうえから退かそうとしているが、見事なまでにびくともしない。
「えー、そこはさ、俺を罵ったり蹴飛ばしたり、鞭で叩いたりロウを垂らしたり…」
「そういうのをやったことがないんだよ!」
「さっき俺のこと罵ったくせに」
お構いなしに奏多は息を荒げ、夏は徹底的に身の危険を感じ始める。
逃げたい!けれど、逃げることができない。
(何か当たってる!)
父親のしか見たことのない夏の制服のうえから、あきらかに硬くなったモノが当たっていた。
「やっぱり女王様は、強気だね……俺勃っちゃった」
頬を赤くしさらに息を荒げる奏多は、ベルトを外し始める。
「ちょっと、先輩、落ち着いて…!」
夏は必死になって制止しようとしたのだが、彼はその手を振り払い、
「堪え性がなくてごめんなさい…」
露にしちゃった。
夏は目が点。
小さい頃に見た父の平常のサイズがたちまち遠ざかってゆく。
「もうこんなになってるんです…」
奏多は先端を、夏の口元へと持っていかせると、
「いけない俺を…どうか、お口で叱ってください」
頭を持って無理矢理に、咥えさせた。
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