Affair.2『調教開始?』
「かんきっちゃんて、いつの間に、蕪木先輩と仲良くなったの?」
目立たず暮らしていきたい夏の周りにはさっそく、いきさつを知りたいクラスメートたちが集まっていた。
「いや、あたしにも何だかよくわからなくて…」
夏は縮こまり、苦笑いを浮かべる。
ほんとうにその通りなのだ、自分自身にもいきさつなどはよくわかっていないのだ。
「蕪木先輩って、ヴィジュアルは申し分ないのにね」
「脳内はうちらにもまったく理解できないお花畑だもんね」
「あたしもまったくその通りだと思います…」
夏はさりげなく、周りの意見に心から賛同した。
「このぶんだと帰り、お持ち帰りされちゃうかもよ?かんきっちゃん!」
「えええ!?」
クラスメートたちはまるで他人事で、その可能性がなきにしもあらずな夏は身の危険を感じ始める。
(あたしの初恋が全て間違っていたんだろうか?)
地味に目立たずがモットーだったというのに、さっそく前途多難の夏は思い切りため息をついた。
(蕪木先輩……たぶんもうあたしは、あなたのこと好きじゃないです)
「なっちゃーん!」
放課後になるとクラスメートたちの予言通りか、蕪木先輩は夏に向かって教室の入り口から手を振ってきた。
無邪気な笑顔と共に。
きゅうん…っ
やっぱり見目は麗しくて、夏が一瞬ときめいてしまうと、
がしっ!
と彼女の腕を掴み、蕪木は引っ張って歩き出した。
「今日ね、俺んち、両親とも帰り遅いから!」
…――――ストレートすぎる誘いだな!
夏をはじめとするその場にいた者は、口をあんぐりと開けた。
「だからいっぱいできるよ〜!」
「あたし自分んちに帰りたい!離せこのやろうーっ!」
「なっちゃん、俺先輩だよ?」
「知るか!ボケェェェエ!」
ぐいぐいと引っ張られて帰ってゆく夏を見送っていたクラスメートたちは、
(何をするんだろう?)
ちょっとドキドキしていた。
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