Affair.1『女王誕生?』
「あたしは先輩が、SとMを知っていたことに驚きです……」
「なっちゃんてほんとうに、ドSだね!」
……これきっと、詳しくは知らないんでしょうけどね……
夏は蕪木先輩の無邪気さに、何だか無性に頬が熱くなるのを感じた。
ほんとうに、子犬のようだ。
取られた両手が熱い。
奈美ちゃん先生と保健室であんなことをしていたくせに……やっぱりこの先輩は軽いなと夏は思った。
それなのに、どうして百年の恋も冷めるような瞬間はまだ訪れないのでしょう?
夏の心臓は、早く鼓動を打ちその存在を確かに知らしめてくれていた。
そして、
「そこでなっちゃんに、お願いがあるんだけど」
両手をきゅっと握って、屈託のない笑顔で蕪木先輩は言いました。
「俺のご主人様になって!」
「いや、それ、女王様じゃあ……」
「そう、それ!」
「軽っ!」
…――――不本意ながら、女王誕生?
前途多難?それとも洋々?
「奈美ちゃん先生になってもらったほうが、いいんじゃないですか?」
「奈美ちゃん先生はね、Mだから!」
「うわぁあ…、生々しい……」
―つづく―
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