魅惑と誘惑の蜜







 「はぁ……っん、」

 達して、舌は抜かれくちびるが離されてゆく。

 とろぉっ…

 唾液は糸となって、繋がったふたりのあいだ垂れて落ち、

 グチッ、グチッ…グチュッ…

 「はぁっ、はぁっ、あ…っ、」
 「おまえの体内はぜんぶ、甘ぇんだな…」

 カラダを反らしよがる彼女の顎へと、薔は舌を滑らせてゆく。



 「この甘さは俺しか知らねぇからな、別格だ…」

 ギチッ…

 「はぁうっ…っ、」

 そして彼は挿れたまんま、

 ドサッ――――…

 ナナをソファへ横たえた。

 「でも、もうすぐおまえの奥まで、俺で満たしてもっと甘くしてやる、」












 パンッ…パンッ…

 「あ…っ、あ…ああぁぁっっ!」

 ビクッ、ビクンッ…!

 艶かしくカラダを反らし、ナナはまたしても絶頂を得た。



 キュウウンッ…

 「……っ、く…っ!」

 切なげに、薔も中へと射精する。

 ドクッ――――…






 「あ…っあ、は…っ、」

 痙攣したみたいに、ふるえるナナは唾液を垂らし、

 「…甘くした後は、思いっきり泡立てんだぞ?」

 れろっ…

 「ん…っ、ん、」

 涙へ舌を這わせた薔は、そっと、囁いたのだった。

 「好きだよ、ナナ…、どれだけ伝えりゃ追いつくのか、わかんねぇほど好きは増してくんだ…」

















 ――――――――…

 (気持ちよすぎて途中から、何が何だかわからなくなっちゃった…、でも、気持ちよすぎた…)

 ソファに並んで、彼にもたれるナナは未だに火照っておった。



 「まだヤりてぇのか?」
 「えっ!?いいんですか!?」

 ………………。




 ………………はうあ!





 (ぎゃあ!どさくさに紛れて、正直に返しちゃったよ!)


 ……要するに、まだヤりたいんだね?







 真っ赤なほっぺで、ナナが非常にムンムンとしておりますと、

 ふわ…

 ふと、そのあたまを撫で、薔は笑いながら言ったのでした。

 「っとにおまえは、エッチでいい子だな。」









 「えっ?そうですか?えへへっ、」
 素直に喜ぶ、ナナ。


 …………これはもう完璧に、

 当初の目的を忘れているな!





 じつは薔が密かに、想ってではなく気づいていたのはこれ!













 『It has already gotten wet.』


 …――蜜が甘く滴るのは、ただ、あなたのせい。



 だから、

 余すとこなく、奪い去って、

 壊れるくらいに抱きしめて、


 いつまでも、離さないでいて。















  ...Please give all of you to me.

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