魅惑と誘惑の蜜










 ピンポーン…

 チャイムの音がした。



 ガチャ――――…

 薔が玄関のドアを開けると、

 「こんばんは。」

 そこには、屡薇が立っていた。






 「…何しに来た?」
 薔は少し、身構える。

 「こないだの返事を、聞かせてもらいに、」
 屡薇はフッと、笑うと、

 「いい加減さぁ、俺のものになってよ…」

 玄関へと上がり、後ろ手にドアを閉めると彼に迫っていった。




 「……やめ、っ、」

 後退る薔の両手を掴み、

 ダンッ――――…!

 壁へと押し当てる。



 「だってさぁ、いつもそんな顔して誘ってくる、薔ちゃんが全部悪いと思わね?」
 「……っ、離せ…っ、」
 ふたりのくちびるはもう少しで、触れあうかと思われた。


 そのとき、

 「はい、そこまで。」

 奥から、男の声がした。



 まったく動じていない屡薇は、声のしたほうへ目をやり皮肉な笑みを浮かべた。

 「またあんたかよ、」










 「そんな風に迫ったら、この子は感じてしまうからね。」
 鋭い眼差しを、余裕の態度で跳ね除けると、

 グイッ――――…

 要は強引に、薔を奪い返した。

 「何せ、男なら誰にでも抱かれる厭らしい躰だ…」







 「は……」
 「ほら、私に触れられただけでもうこんな表情になって…」
 要はわざと屡薇に見せつけるよう、薔の顎を持ち上げる。


 「…あんた、いつも無理矢理犯ってるだけだろ?俺ならそんなことは絶対にしねぇし、」
 屡薇は険しい面持ちで、拳を固めた。



 すると、

 「それなら、確かめてみないか?」

 要は妖しく笑い、屡薇を挑発したのだった。

 「どちらがよりこの子を、気持ちよくさせてあげられるかを…」







 「いいよ、やってやる、」

 汗を滲ませ、屡薇は応える。





 「勝手に決めんなよ…っ、」
 「良かったじゃないか…、二人に嬲られてよがるのも好きだろう?」

 要は耳もとでふっと囁く。

 「……っ、あっ、」





 ゴクリ…

 息を呑んだ屡薇はゆっくり、薔の服をたくし上げていった。


 「や…っ、やだ、離し…てっ、」

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