聖夜にラブアフェア















 今年もホワイトクリスマスになるかという期待は、見事に現実となって世界を白く染め抜いた。
 明け方から降り始めた雪は、まだはらはらと降りつづいている。




 「メリークリスマス、そして……誕生日おめでとう。」
 微笑んだ要は、生徒の前でシャンパンを開けた。
 まるでソムリエのやり方で開けられたシャンパンは、ふたつのグラスに注がれる。

 「教師のくせに、未成年に酒飲ませんのかよ…」
 不服そうに口にした薔は、さらに不服そうに続ける。

 「つうか、何で俺がこんな格好させられなきゃなんねぇんだよ、」

 今日は自分の誕生日にも拘わらず、彼は女の子用のセクシーサンタコスをさせられていた。






 「それは私が君のエッチな姿を見たかったからだよ。」
 グラスを手にした要は眼鏡を光らせて、乾杯を促す。

 「最低な教師だな…」
 ぽつりと呟いた薔も一緒になって、グラスを手にしてから、

 「でも……今年も先生と一緒に過ごせて、良かった……」

 俯き加減に照れながら素直に告げた。
 音を立てずに、ふたりは神聖な乾杯を交わす。



 「酔ったらもっと素直な言葉を、聞かせてくれるのかい?」
 要は笑いながらシャンパンを口にして、
 「……なわけねぇだろ。」
 呆れたように見せながらも薔は照れ隠しのために視線を逸らしつつ、同じくシャンパンを口にした。
 細やかな泡がキラキラと光り、その向こうに恋人の姿が見えて幻想的な気分になる。








 要は撫で回すような視線で、彼のなめらかな生脚を見ていた。

 「どこ見てんだよ…」
 薔は恥ずかしそうに、シャンパンを飲み干す。
 「きれいだなと…思ってね、」
 ふっと笑った要はグラスをテーブルに置くと、手を伸ばしゆっくりと彼の脚を撫でた。
 艶かしく、ゆびが肌を這い上がる。

 「あ…っ、やめろ…って、」
 ふるりと躰をふるわせた薔は、あたまにつけたウサ耳のカチューシャを揺らした。
 「その表情、そそるね…」
 要は真っ赤な衣装を捲り上げてゆく。
 窓の外、雪は小降りとなっていたが雑音は見事にかき消される静かな夜だった。

 「ん…っあっ、やだ…っ、あ…っ、」
 部屋のなかには荒くなるふたりの息づかいと、躰をまさぐられる薔の甘やかな声が響いている。








 「あ…あっ、……センセ…っ、」
 やがて酔いが回ってきた薔は、色っぽくほんのり赤い頬をして、素直に言葉でも彼へと甘えるようになった。

 「そこっ……もっと、触って…っ?」







 「ここかい?」
 要はスカートのなかで、硬くなっていたソコを上下に撫でる。
 「ん…っ、そ…っ、あ…っあっ、気持ち……いっ、……っん、」
 熱く息を乱し、薔は彼のシャツを掴みながらせがんだ。
 嬌声は次々と、ふたりきりのリビングを昇る。

 酔うとこんなにも素直になるのか……と、興奮してしまった要は手の動きを速めていった。

 「こんなにはしたなく濡らして…本当に君は女の子のようだね?薔……」

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