処罰は行わなければならない
「あっっ!」
目の前が目映くて、何も見えなくて、体内に彼を感じながら私はまたオーガズムを得た。膣が狭まり、彼を強く吸い寄せているのがわかる。
乱れた息を上げて、彼も射精をした。もうこれで、三度目。
深く合わさりゆさゆさと動く腰で立つ淫音が、もっと濃厚になるだろう、再び動き始めれば。
私は両脚を掴まれ、高く持ち上げられていた。ハイヒールは脱げそうな気配も見せず足に留まっている。
痛いのかすらももはや麻痺してしまった左足が、宙でがたがたとふるえた。艶いた肌に彼のくちびるが伝う、彼は何度も左脚にキスをして痕を残す。
「あ…っんっ」
一度ペニスを抜かれた私は躰を反らした、体液がたちまち溢れだし、ゆびでクリトリスを撫でた彼は再び挿入をする。汗が流れる乳房に、光と影が降っている。汗の光と、腰を振る彼の影。
抜かれる瞬間にもとても猛々しかった彼のペニスは、子宮口を突き上げた。私の中は完全に、彼の形と同化している。
気持ちよく締めつけている。
「簡単にヒールが折れるような靴を、プレゼントすると思った?」
妖しく微笑み彼は私のヴァギナを泳ぐ、私は突かれながら彼が与える快楽の海を泳ぐ。ふたりして泳いでいるから、シーツはぐしょぐしょに濡れている。
「ちょっとした細工だよ、馬鹿な女にはうってつけだ」
持ち上げた左足のヒールをゆびさきで弄くり、彼はくすくすと笑った。
恍惚に頭がぼーっとしている私は、ただ嬌声を上げていた。また深奥にペニスが突き立てられる。溢れだす体液が水面を作る。
左足をぐっと掴んだ彼は、私の腰も片手で掴み寄せる。
「あっ…あああん…っ」
乳房を揺らめかせ、私はびくびくと全身を痙攣させた。彼の精子が生き生きと私の中を泳いでいる気がした、彼に満たされていた、精液がとろとろと垂れて落ちていた。
彼は何かが、気に入らないようだ。ひどく恐ろしい、あまりの優しさが恐ろしい。
優しい声で私をなじるから、恐ろしい。おまけに私はその恐ろしさが大好きだった。
彼は何がそんなにも、気に入らないのだろう?
私の足が自由だから?
年上の、会社の男性の上司と昼休みに食事に行ったから?
それとも、同僚の男性社員の愚痴を聞いてあげたから?
あるいは、先週の土曜日、買い物をしていたら偶然会った男友達に連れられて一緒に喫茶店に入ってしまったから?
そのあと、ホテルにも誘われてしまったから?
「彼がいるから」と言ってきちんと断ったけれど、“そういう”雰囲気をもしかしたら出してしまっていたから?
…――――こうして思い起こしてみると、私の足はふらつきすぎている。
怪我をしてようやく、少しの安定感を手に入れたくらいのものだ。自由であっても、ろくなことがない。
足を挫いて本当に良かった。
全部、いけないのは私、悪いのは私だ。彼は私を罵倒し、厳しく責め立ててもいいのにそれをしない。とても優しいひとだから。
私はそんな優しい彼のために、贖罪をするべきだった。
だからこそ、処罰は行われなければならない。
彼はじわじわと私に対して、処罰を行わなければならない。
手始めにと、足のひとつやふたつ、どうってことない。手間をかけて、やってくれるのが嬉しい。
愛しているから、あなたに抱かれて死んでもいいほど。
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