おいでよ天使







「んんんっっ!」
 キスでも感じて、彼女は絶頂を得た。
 ビュクッ……と噴いた潮が、ボトムスを湿らせる。

「……っ!」
 奥深くへ突き挿れて、俺も射精をした。


 ドプッ、ドプッ…!ドプンッ――…

 彼女の子宮まで、俺の精子で充たされてゆく。
「は…あっ、ん…っ、あ…っ」
 放されたくちびるを健気に震わせて、彼女は俺だけを感じていた。
 初めての中出しに、恍惚の表情でいる、俺はその顔がもっと見たくて、一度放った奥をまた突き上げ始める。

「あっ…あんっ、あっ…あっあっ、あん…っ」
 乳房をゆさゆさと揺らして、彼女は喘ぎ、
「お前ん中から溢れ出してきてる、俺の精液……」
 結合部が白く濁った淫水で支配される様に、俺は魅入った。

「は…んっ、あっ、ああっあんっ…あっっ」
 逃げられないことを悟った彼女は、快楽に身を委ねる。
 今は時間の許す限りセックスをしていたいけれど、じつはそうもいかなかった。

 俺はナイトテーブルの上に手を伸ばし、初めから置いてあったナイフの柄を掴んだ。
 ひやりとしたその刃を、傷つけないように彼女の頬へ当ててみる。
 ひたすら感じていた彼女は突然の鋭い光に、怯えて俺を見上げた。

「大丈夫、お前に使うわけじゃねぇから……」
 愉しくなった俺はくすっと笑って、ナイフを手にしたまま彼女を苛烈に何度も突いた。

 ズプズプズプズプッ、ズチュッ…グチュッ、グチュッ、グチャッ…

「あっああっっ…あああああっっ!」
 ナイフの存在なんて忘れて、彼女は絶頂を得る。
 俺は揺れ動く艶めいた乳房を揉み上げて、乳首に舌で執着した。
 締めつけてくる中へ、素早く捩じ込み奥を擦ると彼女はまたしても可愛らしい嬌声を上げる。






 …――――ほんとうは、あの幼馴染みの野郎に、お前の携帯を使って確認したんだよ、思った通りあいつはお前のことがずっと好きだったと白状した。
 あいつはすでに、俺の家へと向かっている。
 ナイフはあの男のために用意したものだ。


 メトロノームは、無数をばらばらに動かし始めてもいつしか全部波長が合うらしい。
 合わずにいたものだって、時間が経てば同調するんだ、念には念を入れておかないと危ういと俺はわかっているんだよ。
 お前がそんなふうに、いつか他の男と波長を合わせて俺の前を去ることは、絶対に許さない。
 俺とお前の繋がりは唯一無二だ。

 だから邪魔者は、早いうちにその鼓動を止めておく必要がある。
 お前の目の前であいつを排除して、お前を守って安堵させてやる。
 からだじゅうをずっと、縛りつけてやる。

 綺麗な夜を選んだのは、優しい俺からのせめてもの餞だ、ベッドが軋みつづけていると耳障りな音色でインターホンが鳴り響いた。













 Fin.

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