飼われたがりの彼女








 一定の時間がとうに過ぎたような気がするが、意識はただただ朦朧として気持ちがよすぎて、媚薬がしっかりと効いているのかは最早ちっともよくわからなくなっていた。

 ズプンッ――――…

「あ…っはっあ、あんん…っ」
 私は今度はベッドのうえで四つん這いにされて、後ろから挿入される。
 プラグが抜かれたアナルからも、とろりと体液が伝い落ちる。


「この体勢だとますます、ペットとセックスしてるみてぇだな」
 彼はどの体位でも、私をこの上ない快楽に浸らせてくれた。
 確かに彼の言う通りで、私もこの体勢は大好きだった、四つん這いにされて彼に何度でも突かれて乳房を振って、鳴き続けることに興奮できる。
 首輪とベッドを繋いでいる鎖の淫猥な揺らめきも、視界を犯している気分になれる。



 パンパンパンッ、パンッ…パンッッ――…!

「は…っはっ、あ…っ、あっあっ…あっあんっ」
 私は躰も意識も彼に託して、喘ぐばかりだった。
 陽物が掻き出す体液が、とろとろと脚を伝い流れる。
 それは時に糸を引いてシーツへと滴った。

「あああんんっっ!」
 戦慄き絶頂を得た私は、ドサリとベッドに頭を乗せた。
 彼はその隙を狙っていたかのように、深く嵌めたまま私の片脚を持ち上げて、突き始める。

「あっは…っんっ、んっく…っはっ、かは…っ、あ…っあっふっっ」
 私は一瞬シーツを噛んだが、すぐにままならなくなった。
 重なって揺れる乳房を、全身を、汗が筋となって伝う。
 彼と繋がったアソコからは、交ざりあう体液が蕩けて伝っている。

「ああっあ…っ、ごしゅっ…っ、あっああっあっ、あっあっんんあ…っ」
 パチュパチュと淫音を響かせて激しく突き上げられて、私は再び絶頂を手に入れようとしている。


「……お前が望むから、してやってるけど」
 彼は不意に鎖を手繰り寄せて、乱れた息づかいのまま笑って口にした。

「俺はお前を飼いてぇわけでも、ご主人様になりてぇわけでもねぇんだよな」










「あぐ…っん」
 最奥へと捩じ込まれて、私は躰を反らす。
 掴んで引っ張ったシーツが波打ち、私たちはゆさゆさと合わさりながら溺れてゆく。

「まあ、お前が悦ぶならそれでいいにしても」
 彼はナカでどんどん鼓動を速めて、私の肩や項へとキスをして、舌を這わせた。

「こいつを外せる時がきたら……名前で呼び合ってセックスできんのか?」
 そして黒い首輪へゆびを掛けて、背中にキスの痕をつけた。





 私の背筋を、恍惚が駆け抜ける。
 彼に飼われたがっている私は、こうして彼を見えない鎖で繋ぎ止めている。

 首輪が外されたとき、同様に、見えない鎖は私にも残されるだろう。
 だから私たちは、離れる道を選ぶことを知らない。

 重なる裸体、近づく吐息、膣で増す彼の熱、目に見える鎖はその存在を誇張しているのかジャラジャラと音を響かせていた。
















 Fin.

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