※※第353話:Make Love(&Shed).213








 「あっああっあんっ、あああああっっ!」
 ナナは彼に抱かれて絶頂を得た。
 「やっぱ、欲しくねぇんだな?」
 イっている間にも意地悪く笑って、薔は最奥を突き上げる。
 彼に意地悪をされるのが大好きだと素直に告白したナナは、可愛がられながら意地悪をされる。


 「んんんああ…っ、ああ…っあっっ、」
 再度首を横に振ったナナはあたまがくらくらしていたせいもあり、力任せに牙を出して彼の首もとに噛みついた。

 「…――――――あ…っ、」
 血液を滴らせた薔は乱れた髪を揺らし、抑えきれずに艶いた声を上げた。






 ズッッ…!ズプッッ…!

 彼のモノに蜜が絡みつくように、牙に鮮血が絡みつく。

 「遠慮してたくせに……結構深く行ったな?」
 牙は根元まで食い込んでいた。
 息を乱して笑った薔は腰づかいを速める。

 「んっんっっんっふ…っ、ぁん…っ、ん…っ、」
 久しぶりに味わう彼の血は、甘やかだった。
 牙を抜いたナナは傷口に吸いつき、甘美な赤を堪能する。

 「は…っ、あ…っ、……っ、」
 薔はソファにゆびを立てた、すでに血液は筋を引いて床へ流れ落ちていた。
 ナナはこれでまた野性の喉が申し分なく潤ってしまう、彼の血液は何と言っても特別だ。

 「んううっっ!」
 強く吸い上げ、ナナは絶頂を得た。
 その隙に脚を掴み、薔は一気に突き上げる。


 「あ…っあっあっあっやっあっ、ああっあっ…っ、あああんっあああっっ…っ、」
 イキながらナナは嬌声を上げ、赤く染まった唾液の糸を引かせた。
 「おまえにとっては甘いんだろうな……」
 あたまを撫でた薔は傷の治癒は途中にして、彼女のくちびるを奪う。
 「んっは…っ、ん…っ、」
 ナナは両手を掴んでソファの肘掛けへ押さえつけられ、彼と舌を絡めた。
 次第にキスは純粋な、キスの味へと変わる。


 「んんんんんっっ!」
 ナナは絶頂を得る。
 「……っ!」
 ほぼ同時に、薔も射精をして、息もできないほど濃密に彼女のくちびるを塞いだ。



 脈打つ体内が、彼で充たされてゆく。
 赤でも白でも染められるナナは、もっとたくさんの白濁ならいつでも欲している。

 これも彼が教えてくれたことだ、特別な血液以上に、病みつきにさせる体液の存在。
 躰を髄まで虜にさせる精液の味を、彼女は知ってしまった。


 「……っは…っ、」
 ゆっくりとくちびるを放すと、澄んだ唾液が細く糸を引いて煌めいた。
 薔の肌は未だに、赤く染まっている。

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