※※第356話:Make Love(&Keep).216








 ズッッ――――――――…!

 なめらかに、一突きで挿入された。


 「ん…っっ!」
 猛々しいモノで最奥を突かれたナナは絶頂を得る。
 「イったのか?顔見せろよ……」
 腰を振る薔はしがみついてくる彼女の頬を撫でて、促した。
 恥ずかしくても半ば強引に顔を上げさせられたナナは、彼と見つめあう。

 「可愛いな?」
 くすっと笑って、キスをした薔は動きを速めた。
 こんなところで、甘い声で甘い言葉を囁かれると、ここがどこなのか意識できなくなる。

 「鏡にも映ってるぞ?見えるだろ?」
 激しく突き上げた彼はわざと、彼女の視線が鏡にいくようにした。
 そこには、彼を深く嵌めて濡れる自分の姿が、映し出されているのに。

 「や…っ!」
 恥辱にもなじられ、ナナは悲鳴を上げそうになる。
 薔は片手で彼女の頬を掴み、口を塞いだ。

 悪戯っぽく笑った彼は自分の乱れた息づかいも抑えるためにか、人差し指を立ててしーっの合図をする。

 「気づかれたら終わりだからな?」
 この状態でどうやって終わらせるのか、意地の悪い咎め立てをする。
 独り占めしているくせに、彼女のこんなところ誰にも気づかせないくせに、逆手に取って誘発する。
 ナナは我慢を強いられる。
 それも極上の悦楽になる。

 「んんっ…っ!」
 ぞくぞくした彼女は絶頂を得て、鏡に髪を滑らせた。
 くちびるから落としたゆびで、彼は乳房を揉んだ。
 衣服を纏っていても直に触れるような、いやらしい指づかいで、乳首の在処を弄ぶ。




 ズチュッ…!パチュッッ…!

 音は廊下に聞こえてしまわないか、心配すべきでも、構っていられない。
 濡れて潤滑はよくなり、懸命に彼を吸い寄せる場所を彼が過激に突き上げるから淫音が響いてしまう。

 「っん…っ――――――…っ!」
 ナナはまたしても絶頂を得て、彼の手の中で息をした。
 このまま止まってしまいそうなほど、健気に息をしていた。
 「……っ!」
 彼女がイくと、薔も射精をして、これから観客になるナナの中へとたっぷりの迸りを注ぎ入れた。
 子宮は切ない狂熱を帯びて、まだまだ彼を欲しがっていた。




 薔がゆっくりと抜くと、収まりきらずに溢れだしていた体液にさらなる白濁が混じった。

 口許から手を放した彼は今度はキスでくちびるを塞ぎ、下唇を甘噛みした。
 優しいやり方だったが、押さえきれない激情を垣間見させるディープキスだった。


 「あとはいい子で……我慢だな?」
 あたまを撫でて、彼は彼女の顔を覗き込む。
 時間があるから仕方がない、最初からわかっていた。

 最初からわかっていたことも全て術中に嵌めるから、彼はたちが悪い。
 焦れるとまた悦びを得るこの躰も、たちが悪かった。














  …――The beginning of showtime!

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