※第6話:Game(+Foreplay).4




「あぁ〜、なんだかんだいって、早いな!」
 ナナは、いつも、登校において自分からは、家の門を閉めない。
 いつもそのあと一時間後ほどに出勤する、ナナ父が門を閉めている。
「遅刻しなくて、よさそうだよ〜!」
「やたら残念なことに、お前、遅刻はまだしたことねーな。」


 ……………………あれ?


 どうしよう?
 恋って、幻聴、きこえるのか?
 …………まさか病気!?

「ぎゃあ―――――っ!」

 ナナが大声を上げたところで、


 フワッ


 ナナ宅の塀(3メートルあります)から、何者かが、降り立った。

 ……わかりますよね?




「このレンガのムダ遣いは、破産レベルだぞ。」




 きゃあ――――――――っ!!





「しょしょしょ、薔さん!?アナタ、もしかしてネコですか!?」
「お前には、この俺がネコに見えるのか?」
 …………え?
「ネコだと言うなら、この場でお前に発情してやるが。」

 …………ぇぇぇぇぇぇえ!?
 ここで、エッチなコトされちゃうの!?
 ここ、わたしの家の前で、人通りもけっこうあるんですけど……………!!





 ナナの目の前に、“落ちちゃってますよ☆恋!”の、薔が立っていた。(※この説明は、なんだ?)





「スミマセン!どこをどう見とれてみても、アナタは薔さんです!!」
「見とれてたから、犯そうとしたのか?」

 …………昨日のお話が、やたらとエッチになっちゃうからやめてください!!

「まぁいい。そのことでお前に、予定変更を知らせてやろう。」

 ………………はい?


「犯すのはいっこうに構わねーが、そのあと倍に犯させろよ?」


 えぇぇぇぇえ…………!!


「朝からエッチなコトを、言わないでください!」
「俺がいつお前に、エロいことを言ったんだ?」

 たった今とか今までとか、とにかくずっとエロスだよ――――――っ!!




「ところでなぜにアナタさまは、わたくしの自宅をつきとめられたんですか!?」
「吉川が吐いたからに、決まってんだろ?」

 アナタ、担任に取り調べしてるんですか?

「そそそそれより、熱は下がったんですか?」
「下がったぞ。」
 ……よ、よかっ
「39.5度に。」

 ………高熱には変わりない!
 それ以前に、微々たるものですけど。

 (だ、だから今日も、目の保養通りこして毒なまでに、色っぽいのかな?……珍しく、ネクタイしてるけど。)


 ジッ。


 ……………………は!!

 み、見つめられてる………………!?


「お前やはり、耳すら赤いな。」
 いや、それ、アナタのおかげですよ?

 バサッ!

「ぶっ………………!」
 突然、薔は、ナナの顔に向けて白い紙袋を投げた。

「った!な、なんですかコレ!?」
「見りゃわかる。」

 ………まさか違法なドラッグとやら!?

 ひっくり返した袋のおもてには、

 『かぜ薬』

 と書かれていた。


 どぉぉぉぉぉお!!
 ……う、嬉しい…………!!

 もう泣きそう!
 こんなかお、見られたくないよォ―――――っ!!

「やっぱりわたし、お薬もらったし休みます!」

 顔を手で覆い、門へ走ったナナ。


 ガチャ―――…


 門は閉められた。薔の手によって。


「でぇぇえ!?なにアナタ、ひとん家の門を勝手に閉めてるんですかぁ!?」
「だれが休んでいいと言った?」
 いや、スミマセン。言ってないですよね?アナタさまは。

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