第4話:Game(+Sadness).2





 無事に傘をさして帰路に就いたナナを、部屋の窓から薔は見送っていた。

「クソ目立つよう、“真っ赤な傘”にしてやったからな。」
 テーブルのうえにあった、商品タグを手にとり、

「倍請求の予定だったが、」

 ゴミ箱へ、捨てる。





「どうやら“それ以上”払い終えたか。」






「雨、強まってきたな。」

 窓の外、どしゃ降りの空を見上げ。

「いいか、ナナ、」

 薔は静かに語りかけた。



「濡れんじゃねーぞ、“俺以外”に。雨だろうとなんだろうと、お前を汚していいのは、俺だけだ。」




 雨に意志があったとして。
 雨は彼を敵に回してまで、ナナに打ちつけただろうか?




「伏せた瞳を見れば、嫌でもわかる。」




 このひとは、本当に悪魔?







「お前はもう、とっくに、俺に堕ちてんだよ―――――…」















 さて、
 共に堕ちるのは、
 かまわないと、誓えますか?





 嫌でも出ますよ?
 禁断症状。
 ……ナナさん、大丈夫?

 麻薬のようだな、このひとは。
 ………………それとも媚薬?
 たちが悪いったら、ありゃしない。









 Game.2 captured...

  …and…deep…Sadness<それは、ふかき、かなしみ>.

[ 45/550 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る