第4話:Game(+Sadness).2



「お前今なんて言ったか、わかるか?」

 ……………………は!


「いえ、わたくしはなにも言っておりません!空耳です、きっと!」



「待ってろ、今そこへ行く。」


 ……聞いてください!わたしの話も!



「お前も、ひと、殺したんだったな。」
 え………………?
 そこに行くと言った言葉通り、薔は目の前に立っていた。

 (どうしよう……………!見下ろされてるよ……………!)

 焦るナナ。
 に、放たれた言葉。







「共に堕ちるか?堕ちるとこまで。」




 え―――――――…?







 スッ―――――…

 手をのばされたので、

 (ぎぇぇぇええ!)

 こころで絶叫するナナの、

 くい…

 涙を、指で、薔は拭った。



「俺のまえでなら泣いてもいーが、ババァに磨きはかかるぞ?」






 ぱしっ


 とっさに、その手を払いのける。

「おい、」
「わわわわたし、なんだかおかしいんで、帰ります!」
「あ?」
「でも、わたしは、おかしいかもだけど、めちゃくちゃ真剣なんです!」

 ナナは鞄を掴む。


「ごめんなさ―――――い!!」


 ドアを開けて、飛び出した。

 そしてそのまま一目散に、階段を駆け下りていった。


















 ――――――――…

「真剣?」
 花子が、薔に寄り添う。
 そのあたまを撫でる、優しい手つきで。
「ならお前、俺の目を見て言えよ。」
 そう、薔は、笑って言った。










「エ、エレベーターを、使うんだった……!」
 15階から駆け下りたから、息切れがハンパないわ!
「おまけに傘、借りれなかったし…………。」
 どうするんだよ〜(泣)
 ますますどしゃ降りだよ、これ。
「わたしのこころもナントカ〜なんちゃって!」
 他人が聞いたらまず、ドン引きの言葉を発していたとき。
「あ、あれ………………?」
 やけに鞄がいびつなことに、ナナは気がついた。
「なんだろう?」

 鞄を開けた瞬間、
「え?ウソ?」

 そこには新品の、折り畳み傘が入っていたのだ。

「よかったぁ!きっとわたし、持ってきてたんだわぁ!本当によかったぁ、今気がついて!」






 ………ナナさん、その傘、見覚えあります?

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