※※第43話:Make Love(&Love!).7
好き=“Like”or“Love”
ほんとうの気持ちが「好き」である場合ほど、伝えるのはあまりにも難しく、ときとしての怖さや痛みに泣けそうになる。
初めからもっと簡単に、何事もなく伝えられたらいいのに。
しかし、初めからそうできる想いなら、ただひとりのひとに対して、こんなにもくるしく抱くことはないだろう。
だからこそ、この「好き」は、“Love”となるのだ。
さらに、だからこそ、“Love”というものは、物語にとてもドラマチックな彩りを添えてくれる。
それはもちろん、あなたの人生にも!
人生も、命も、“Life”であります。
“Like”だって、もちろん、欠かせないんだからね!
こけしちゃんがナナと一緒に行きたい場所は、明かされた。
ナナにはちんぷんかんぷんだったが、同棲中なのでなにも問題ない。
待ち合わせ場所、待ち合わせ時刻も決められて、いったん力強く電話を切った。
「あのぅ…、」
「なんだ?」
エプソンを外して、ナナは恐る恐る、場所についてを薔に尋ねました。
「12時30分までに、王国ホテルというところの、花壇の前に行きたいんですが、どこにあるんですかね?日本なんですかね?」
と。
「…おまえは、なぜそれについてを桜葉に訊かなかったんだ?」
すこし呆れたような、薔。
「いや、あの、なんか、つい聞きそびれてしまい、でも、薔がいるからなにも問題ないと…、」
申し訳なさそうな、ナナ。
「ならちゃんと送ってやるが、目的は訊いたんだろうな?」
「あ、はい、お見合いだと、」
「・・・・・・・・・・・・、」
一瞬、薔は無言になった。
(あれ?どうなされたのだ?)
首を傾げたナナでしたが、
「…おまえと桜葉の、か?」
もんのすごく落ち着いた雰囲気で、静かに薔は問いかけてきた。
えぇぇぇぇぇぇぇええ!?
「まったくもって、違いますよーっ!」
「なら、誰んだ?」
…ひぇえ!
「あの、なんか、醐留権先生のらしいです!」
「そうか。」
きちんとご報告したナナだったが、
「言っておくが、」
堂々と薔は言い放ちました。
「例え桜葉であろうと、おまえを渡す気は微塵もねーからな。」
…うっひゃああ!
「大丈夫です!わたくし、薔以外には絶対に渡りませんので!」
「おまえはそう返すな。意味が違ってくる。」
…………え?
しばし唖然としていたナナは、
「まぁ、いい。おまえ、これから支度しろ。」
と、言われたんです。
「いや、もう支度は済んでおります。」
「なに言ってんだ?」
……………はい?
「おまえがこれから行く場所はな、普段着じゃ入れねーんだ。」
「えええ!?そうなんですか!?」
びっくり仰天の、ナナさん。
「俺がしっかり、着付けてやる。」
「わぁ!ありがとうございます!」
喜んだナナでしたが、それも束の間か、
「脱げ。」
薔は、彼女のTシャツの裾に、手を掛けた。
(うぎゃあ―――――――――――――っ!!)
「脱ぐのは、自分でやりますってーっ!」
「おまえは後で、俺を脱がせ。」
またしても、脱がし合いか!?
なんだかんだ言って、ナナの喜びは束の間ではなかった。
あ、悦び、か?
脱がし合いをしたかは定かでないが(←定かにしてよ)、ふたりして立派な正装をすることと相成った。
ナナは、ちょっと年季入りだがワンピースのうえに、夕月のストールを羽織った。
返しそびれたのではない、何気に、頂いたのです。
その会話がいつなされたかは、割愛、させてください。
お化粧も控えめに、施されました。
「ここまでしないと、いけないんですかね?」
「なに言ってんだ?それはそれで、めちゃくちゃかわいいぞ?」
………うはぁ!?
「恥ずかしいで」
照れまくったナナは、頬を赤くして薔を見た。
そして改めて気づき、真っ赤になった。
彼は立派な、スーツ姿だった。
(ぉぉぉおおおわ!?かっこよすぎる――――――――っ!!)
「すすすすすみません!一枚、写真撮らせてください!」
「それより、はやく行くぞ。」
写真―――――――っ!!(泣)
夏の正装は砕けていても暑いため、タクシーが手配されていた。
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