第4話:Game(+Sadness).2




「…………さん……、三咲さん……………!」
 あれー?
 なんかすごく遠くから、声が聞こえてくるなぁ……。
「三咲さんってば!」

 ぺち

 ぱち

 ほっぺたを叩かれて、ナナは目を覚ました。

「……………ここ、どこですか?」
「音楽室よ。」
 優しい声にいったん安堵して、周りを見ると、
 (うげっ……………!)
 なんと、音楽室には、たくさんの人間が集まっていた。…もちろん、この学校のね。
「三咲さん、アナタここで、なにしてたの?」
「なにって……………」
 思い出そう。
 え、えーと、あのひとに脅されてエッチなこと言われて、それでキスされて気絶したんだったな。

 …………………キス?

「ぎゃあ――――――っ!!」
 びくびくぅ!(※音楽室が震撼した瞬間)
「ど、どうしたの!?なにがあったの!?」
「なにもありません……………。悪魔に脅されて、契っていただけです………………。」


 ……アンタそれ、大問題だよ。


「大丈夫?あたま打ったの?」
 そう言って駆けつけたのは、保健室の(美人)先生。
 彼女はナナのあたまを入念に調べたが、外傷はなかった。当たり前だが。
「…………………先生。」
「どうしたの?どこか痛いの?」
「はい、こころが痛いです。」
「そうよねぇ。あなた、恋してるんだものねぇ。しかも、相手が相手だし、これはたちが悪すぎるわ。」
 …………………え?
「せ、先生、」
「なぁに?」
「先生のおっしゃる相手とは、どなたのことですか?」
「もちろんあなた、くれ」
「ぎゃあ―――――――っ!!」

 話遮っちゃ、ダメだよ。
 特許取ってるひとが、いるんだからさ。

「どどどどどうしたの………………!?」
「スミマセン…!嫌な予感が現実になるとこだったんで、すんでのところで阻止しました……!」
 阻止って、アナタ…………。

「それにしても……、」
 ナナは保健室の(美人)先生を、羨望の眼差しで見つめていた。

「先生って、すごいですねぇ……。保健室の先生なんかやめて、ノストラダムスの後を継いだほうがいいですよ………。」

 …………………プッ。

「あははははは!」

 わかった!
 この子は、バカがつくほどの正直者なんだ!

 ……それ、もうつけちゃったひとがいるんで、どうってことないです。………………たぶん。

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