第32話:Game(+Game).28








 …――もしも、


 ふたりを引き裂くものが、



 あるとするなら。




 でも、誓った言葉に、

 想いに、

 嘘なんて微塵もない。








 穏やかだった。

 時間も、心も。


 なにも心配いらないと、思っていた。

 思えていたよ。








 月曜日です!




 ――――――…

 登校の際、ナナは悩んだ。
 思い入れのありすぎる靴が二足になったおかげで、どちらを履いて行こうかと。

 悩んでいるうちに時間になってしまったので、履きやすいほうの靴(ハイカットはオシャレだが履きにくい)にした。



 けっこういつも通りの時間に、いつも通りの雰囲気でふたりは再会したのだった。




 「おおおおおはようございます!」
 朝から白米を食べたナナは、絶好調だった。
 門の前でやたら、かしこまる。


 「おはよ、」
 そして薔は微笑んでから、朝からナナ宅の前にて彼女をつよく抱きしめた。

 いい匂いだの何だので、ナナは真っ赤になってドキドキしまくった。


 「行くか、」

 離されたあとは手を差し伸べられて、いつものように手を繋いで登校したのだった。



 この様子を何気に、ナナ父は窓から観察していた。
 娘が抱きしめられたとき大声をあげようとしたら、妻に取り押さえられた。



 特に何事もなく、ふたりはいつものように登校していった。


 かなしいかな、この朝の空は、雲ひとつなく透き通るかのように、晴れ渡っていたのでした。






 ギャラリーだか何だかは、3日ぶりなので気合いが入っており。

 ナナは真っ赤で俯き若干猫背だったが、薔は涼しげに堂々と歩き周りを完全無視だった。





 この日生徒たちは、みんなこんな感じでいたので、職員の駐車場に、黒塗りのベンツが停まっていてもだれもなんとも思わなかった。


 この時点では、まだね。

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