第3話:Game.1



 み、見つめられてる……?

「お前、」

 ゴクリ。

「前髪だけはムダに跳ねてんぞ?」

 これは、寝グセですね………………。
 アナタのせいで元気になりすぎちゃって、あまり眠れないので寝返りばっか打ってるからですね………………。
 おまけに朝方眠くなるから、直してくる時間がないんです……………。

「じゃ、じゃあわたし、席につくね!」
 異様なムードを察したのか、先ほどのクラスメートの女の子(だから、名前…)は、自身の席に戻っていってしまった。

 (………待って!)
 この空間に、ふたりきりにしないで!

 戻ってこ―――――――い!!
 …い…ぃ…ぃ…(※エコー)

「おい、」

 ぎゃあ!!

「ななななななに!?今日アンタのせいで、何回叫んだかわからないよ!?」

「お前、放課後残れ。」

 …………………へ?

「なんで、かな?」

「朗報がある。」

 …………………ろ?
「“ろうほう”って、なんですか?」
「知らねーなら辞書を引け。」
 辞書………。そう言えばこないだの“へたナントカ”まだ、調べてなかった……………。

「あのぅ、わたし、飼ってる金魚に、エサをあげないといけないんですけど」
「金魚は餌を与えすぎると、逆に死ぬぞ。」

 …………知らなかった!(そもそも金魚、飼ってない!)

「あとわたし、洗濯物を外に干してきてあ」
「俺が残れと言ったら、残るしかねーぞ?」

 見下ろされてる……………流し目で……………………。




 ……………お父さん、お母さん。わたしにチカラを与えてくださった、ヴァンパイアの王さん。
 なんなんですかね?
 このひとは?

 なんでこんなにも、絶対的なんですかね?

 放課後、

 このままいくと、わたし、無事に帰れる気がこれっぽっちもしないんですけど。

 どうしたらいいでしょうか?
 このわたしは。

 まぁ、きっとそれを教えられるのも、“このひと”だけなんでしょうけど――――…






 外は、晴れてます。
 こころには若干、暗雲立ちこめます。

 ………………どうしたものか。

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