※※第31話:Make Love!.2





 お風呂から、ふたりしてあがって。


 ナナはTシャツ一枚で、薔はスウェットだけ履いていた。
 おや?
 けっこう、いつも通りか。



 「いや、ぬるいお風呂だったのに、めちゃくちゃあっついです。」
 頬を火照らせて、述べるナナに、

 「あぁ、なんか持ってきてやる。」

 そう言った薔は、キッチンへと向かっていった。


 そこへ、花子が顔を出した。

 花子は嬉しそうにキッチンへと入っていって、やがて薔と一緒にリビングへとやってきた。



 「ほら、」

 薔はまたしても、ナナにミネラルウォーターを手渡す。

 「あ、ありがとうございます!」

 手にとってみると、ひんやりとした感じが心地よい。


 「わぁ、気持ちいい!」

 感心しているナナのまえ、薔の手には同じものと、グラスに入った氷があった。




 ふたりして、ソファへ座る。
 花子は、ご主人さまの傍らに寄り添った。


 「やっぱり、このお水おいしいですね!」
 「そうか。」
 ゴクゴクと飲むナナのとなりで、薔は花子のあたまを撫でながら、グラスに水を注いだ。


 「え?なんか、すっごく冷たそうですけど、」
 ナナはキョトンとする。

 「ほしいのか?」
 ふんぞり返ってグラスを持った薔に聞かれて、

 「うーん、冷たすぎるのは苦手なんですが、いまはほしい気がします。」

 彼女は正直に答えた。



 「仕方ねぇな、」

 すると、薔はソファの背もたれに腕を乗せて、ナナへ向きを変えた。


 「やるから、目ぇ閉じて、口開けてろ。」




 ………ぇぇぇぇええ!?


 「恥ずかしいですってーっ!」
 真っ赤になる、ナナ。


 だが、


 「これからセックスだってのに、なに言ってんだ?」


 こう返ってきたよ。




 ……そうだったぁっ!


 ナナのくちびるは、かすかにふるえだす。


 「おい、はやくしろ。」

 細めた瞳で見据えられていたため、ナナはキュッと瞳を閉じ、ふるえるくちを必死で開けた。




 「………………、」

 しかし、しばしの間、なにもされなかった。


 (あれ……………?)
 はてなマークを浮かべたナナが、恐る恐る瞳を開けると…、


 目のまえで、さっきのまんまだった薔は、ニヤリとした。


 「え…………?」

 ドキンとしたナナは、思わず両目を開いてしまい。



 すると、

 グイッ――――…

 いきなり、薔はナナを抱き寄せた。



 「ひゃ……っ、」

 ちいさく声をあげたナナのくちびるに、

 チュ――――…

 薔がキスをすると、


 カラン―…


 濡れた氷が、入ってきた。



 「ん……っ……」
 冷たさと熱さに、ナナは身震いをする。


 そんな彼女を抱きしめて、薔はキスをつづける。



 ナナのくちのなかでは、氷がだんだん溶けてゆくのだが、一緒になって溶かすかのように舌は絡みあった。


 「ん…っ………ん…………」
 カラカラという硬い音と、クチュクチュという濡れた音が混じりあって、ひんやりと熱を帯びてゆく。




 氷が溶けてからも、熱いキスはつづいた。




 チュプッ……

 やがてくちびるが離されると。


 「はぁっ………はぁっ……………」

 ナナはぐったりと熱い息を吐いており、

 「ん……………」

 彼女を抱きしめる薔は、濡れた自身のくちびるを舐めた。




 そして、

 「そーいや、おまえ、腹は減ってねぇのか?」

 こう問いかけた、薔。


 「え…………?」

 ナナは顔をあげて、彼を見た。

 よくよく考えたら、夕食まだだった。



 「セックスの前にあんま食うモンじゃねーが、ほしいならなんか作ってやる。」

 髪を撫でながら、微笑みかけられて、


 「んん………わたしは、大丈夫です………それより、薔は、大丈夫ですか?」

 こう尋ねたナナに、



 「俺はおまえで満たされるから、大丈夫なんだよ。」



 ええ、薔のことなんで、こう答えました。




 キュンとした、ナナ。




 「行くか?ベッド、」


 この問いに頷くと、


 フワッ――――…

 ナナを抱きかかえて、薔は立ち上がった。





 途中まで花子も一緒に歩き、ふたりが寝室へ入ると、花子は前の部屋へとお利口な仕草で入っていった。


 えーと、前の部屋は、大丈夫なのかな?

 喘ぎ声とか。


 花子に、どうか、安眠を。


 あ、でも、マンションがマンションなんで、心配いらないかも、しれない。

 ………………たぶん。

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