第26話:Game(on Holiday).24




 (うぎゃあ――――――っ!!ゴルゴンゾーラさんのばかーっ!!)

 この場合、イケナイのはゴルゴンゾーラか?
 それにしても本日、ナナはよくこころで叫ぶな。


 とっさに真っ赤っかで、からだを起こしすぎたくらいのナナが、
 (あ!こけしちゃんのゴルゴンゾーラさんに、ばかって言っちゃったよ!ごめんなさい!)
 内面で必死に謝っていると、


 「……おい、」


 いやぁ、やっぱり、起きてしまわれたよ。



 「おまえやはり、俺を殺す気だな?」




 「なにをおっしゃりますかぁ!?」
 驚愕のナナに、
 「かなり息苦しかったが?」
 体勢はまったく変えぬまま、薔は静かに言います。

 「ちがうんです!あの、その、」
 ゴルゴンゾーラさんのせいです、とも言えないため、ナナが慌てふためいていると、

 「まぁ、いい。」
 薔はゆっくりと、起き上がった。



 「あ、あの……………」
 背中を向けられているので、表情がわからず、ナナはどぎまぎする。


 すると、

 「ナナ、」

 振り向いた薔は、ただやさしく微笑んでいた。



 「キスしよ?」




 「え?い、いま、ですか?」
 「ん、いま、したい。」

 …………えぇっ?

 ナナは真っ赤で、オロオロする。
 「で、でも、まだ、せっかく借りてくださった、DVDとやらが………、」
 「いつでも観れる。」

 ………えええ?

 「キスだって、いつでもできるが、」

 瞳を細めた薔は、ナナのあたまに腕をまわし、彼女を引き寄せた。


 「いま、したい……」


 チュ――――――…


 「ん……っ……………」

 やわらかくてやさしい感触に、ナナはふるえる。

 「……っ…んぅ………………」
 甘い香りにクラクラとして、ナナは薔にしがみついた。




 「ねぇ、ナナ、」
 またしても甘えた声を出す薔は、

 「好き?」

 くちびるが触れ合う距離で、確かめたがる。


 「ん…………好き……………」
 感覚が麻痺してゆくなかでも、その想いは膨れ上がって。


 「もっと、言って?」
 せがむ薔に、

 「……大好き………………」
 ナナがうるうると応えると、



 「ん………………」
 あつくキスを交わしたまま、いつしかふたりして、ソファに身を委ねていった。










 ……はたして、この夜、ナナは自宅に帰るのだろうか?










 Since you fainted last night,

   ……Stay!!

[ 281/550 ]

[前へ] [次へ]

[ページを選ぶ]

[章一覧に戻る]
[しおりを挟む]
[応援する]


戻る