第26話:Game(on Holiday).24





 ゴルゴンゾーラには、5年前に謎の組織にさらわれたまま帰ってこない、彼女というか、婚約者がいた。
 とても優しそうだが、儚げな女性に見えた。

 愛し合って婚約に至ったということもあり、ゴルゴンゾーラは彼女を本当に愛しているようだった。


 ちなみに婚約者の名前は、“モンドール”だった。
 どちらにせよ、チーズだった。


 さらわれた現場に一緒にいたため、死に物狂いで助けようとしたが一人では全く歯が立たず、傷だらけになったゴルゴンゾーラさんはコンクリートのうえに倒れて泣いていた。
 その姿には、こころ打たれた。

 『…私はあの日、こころに決めた。どんな手段を使ってでも、彼女を救い出そうと。そして、犯罪が氾濫するこの街で、手がかりに近づくため、私は探偵になった。』

 ゴルゴンゾーラは、5年前のその日まではとても穏やかな性格で、コンタクトだった。
 その日を境に彼はドSになり、眼鏡に変えたのだった。









 「うぅ…っ…………」
 回想シーンに感動したナナは、泣いていた。
 結果的に、今なら泣いてもよかった。

 「さすがは、こけしちゃんのゴルゴンゾーラさんだね。優しいよ。」
 そして、涙を拭う。


 「あぁ〜、悲しいけど、めちゃくちゃいいお話だね。」
 感動ひとしきりの、ナナだが、


 「ん…………………」
 なんと、そんな彼女のほうへ向かって、薔が寝返りを打ったのだ。




 (ぎゃあ――――――――――――っ!!)

 泣き止み、こころで大絶叫する真っ赤っかなナナの、


 ギュ―――――…

 Tシャツを薔は掴む。

 いや、しかし、彼はまだ眠っていた。



 (ぎゃあぁっ………!わたしは、どうしたらいいんだ!?かわいすぎるし、心臓が限界だよ!?)
 さわりたい気持ちすらどうにか抑えて、ゴルゴンゾーラさんに集中しようと、ナナはとりあえず意気込んでみた。


 そして顔を上げると、



 『あ…っ……………ゴルゴンゾーラさま……………』
 回想シーンを終えたゴルゴンゾーラは、先ほどの依頼人と激しく抱きあっていた。
 ※このアニメ、木曜日の18時から放送していいの!?




 (ゴルゴンゾーラさん、なにをやってるの――――――――っ!?)
 驚きとツッコミのあまり、思わずナナはかなり身を乗り出した。


 よって、



 ムギュッ



 と、してしまった。

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